ドイツの工業力が生んだ「狂気」の自動車デザイン ゲルマン魂が光る奇妙なクルマ 30選 後編
ローテック・シリウス(2001年)
レーシングドライバーであったクルト・ロッターシュミットは、1962年にレーシングカー製造に特化したローテック(Lotec)を設立。その後、ポルシェのチューニング、フェラーリやメルセデス・ベンツのアフターマーケット用エアロパーツの生産に注力する。ローテック初のモデルは1995年のC1000だが、スーパーカー界に火をつけるには至らなかった。 2001年にシリウスが登場したが、非常に高価だったこともあり、年間わずか5台しか生産されなかった。そのデザインはケーニグセグCCに似ているが、どこか狂気を感じさせる。2008年にシリウスの改良型のスケッチが公開されたが、生産されることはなかった。
アウディRSQ(2004年)
RSQは、2004年に公開された映画『アイ, ロボット(原題:I, Robot)』で主人公が乗るクルマとして製作されたコンセプトカーだが、そのデザインの一部はアウディR8に影響を与えた。 2007年のB8型A4や2011年の8U型Q3のエクステリアを手がけたことでも知られるジュリアン・ヘニッヒがデザインしたRSQは、2035年を舞台にしたSF映画の世界観によくマッチしている。
イズデラ・アウトバーン・クリエール116i(2006年)
驚異的なデザインを生み出すことで知られるイズデラは、2006年にさらに一歩進んで116iを発表した。1930年代のロングノーズ・スーパーセダンとも言うべきデザインだ。ベースのシャシーはメルセデス・ベンツW126型Sクラスで、エンジンは同じくメルセデス・ベンツの「W117」を2基搭載している。 排気量にして10L、最高出力は600psに達する。デザイナーであるエーベルハルト・シュルツは、ブガッティ・ロワイヤルとメルセデス・ベンツ540kアウトバーン・クリエールから多のインスピレーションを得た。彼自身にとっては「引退」プロジェクトであり、116iはすべての条件を満たしていた。
BMW GINA(2008年)
ほとんどのクルマは何らかの固形素材で作られているが、BMW GINAはファブリック表皮で覆われており、「変形」が可能だ。この2ドア・スポーツカーは、クーペ・フィアットやアルファ・ロメオ145のデザインで知られる自動車デザイナー、クリス・バングルの作品である。彼のデザインは2009年までのBMWの全ラインナップでも見ることができる。 バングルは、GINAによってデザイン部門は「既存の原則と従来のプロセスに挑戦することができた」と主張している。GINAとは、「Geometry and functions In 'N' Adaptions( “N” によって適合する形態と機能)」の略である。