糖質の摂りすぎで脂肪肝!? ちゃんと知っておきたい肝臓の働きと大問題
全身の、まさにキモとなる働きを担う肝臓は、その生活習慣や食生活によって危うい状況にある。「ああ、γ-GTPが高いと怒られるやつね」レベルから脱し、肝臓について正しい知識を仕入れよう。[取材協力/竹原徹郎(大阪大学医学部附属病院病院長)、栗原 毅(栗原クリニック東京・日本橋院長)]
教えてくれた人
栗原毅さん(くりはら・たけし)/肝臓専門医。栗原クリニック東京・日本橋院長。東京女子医科大学で肝臓病学を専攻し、教授に就任。慶應義塾大学教授などを経て、生活習慣病の予防・治療を目的とするクリニックを開設。医学博士。 竹原徹郎さん(たけはら・てつお)/大阪大学医学部附属病院病院長、同大学院医学系研究科教授、日本肝臓学会理事長。大阪大学医学部、ハーバード大学医学部などを経て現職。専門は肝臓病学、消化器病学。医学博士。
肝臓はカラダの“防波堤”である。
カラダの入り口は口ではなく、小腸だとよくいわれる。消化管の内部は外の世界と繫がっており、食べ物の栄養素はおもに小腸から体内へ入ってくるからだ。 では、肝臓はどうか。 「小腸が入り口なら、肝臓はカラダの“防波堤”です」(肝臓病学が専門で大阪大学医学部附属病院病院長の竹原徹郎先生) 臓器には通常、血液を受け入れる動脈、血液を送り出す静脈という2系統の血管が接続する。だが、肝臓には3系統目の血管が通う。それが門脈。正常な肝臓は、動脈から3割、残り7割の血液を門脈から供給されているのだ。 門脈は小腸など消化管や脾臓の毛細血管から血液を得て、肝臓の毛細血管(類洞)へ送る。食事で摂った糖質、タンパク質、脂質の3大栄養素は門脈で肝臓へ運ばれて、利用しやすい形に代謝されてから全身へ送られる。ビタミンやミネラルの貯蔵も肝臓の仕事だ。 小腸などから体内へ入るのは、栄養素だけではない。アルコールなどの有害物も含まれる。それを解毒して拡散を防ぐのも、肝臓の役割。防波堤といわれる所以だ。 このほか、肝臓が作る胆汁は、脂質の分解を助ける乳化を行う。