糖質の摂りすぎで脂肪肝!? ちゃんと知っておきたい肝臓の働きと大問題
骨格筋は第二の肝臓。筋力低下で肝機能はダウンする
30歳以降、運動不足だと年1%の割合で筋肉が減る。筋肉が減りすぎると体型が乱れるだけでなく、肝臓にも悪影響が及ぶ。 「なぜなら骨格筋(筋肉)は“第二の肝臓”とも呼ばれており、筋肉は肝臓と似通った役割を果たしているからです」(竹原先生) たとえば、食後に増えた血糖を取り込み、グリコーゲンとして貯蔵できるのは、肝臓と筋肉だけ。筋肉が減ると血糖をグリコーゲンとして蓄えにくくなり、あふれた血糖が肝臓で中性脂肪として蓄積しやすくなる。 また、筋肉が肩代わりしてくれる肝臓の重要な機能にアンモニアの代謝がある。 タンパク質に含まれる窒素は、代謝過程でアンモニアに変わる。アンモニアは有毒なので肝臓で解毒されて尿素に変わり、尿から排泄される。肝機能が低下するとアンモニアの処理が滞り、血中アンモニア濃度が上昇。頭がぼんやりするなどの症状が起こる。 実はアンモニアの約30%は筋肉で解毒できる。肝機能が下がると、筋肉がその機能を肩代わりして解毒を進めるのだ。盟友の筋肉が衰えると仕事が増えるため、肝臓は大迷惑なのだ。
筋トレでアルコール分解能が向上する
運動習慣のない20歳以上の健常者に週3回以上、12週間の筋トレを行ってもらった。終了後は筋肥大が確認されると同時に、20度の蒸留酒300mLを飲んでもらうと呼気中のアルコール濃度の低下が確認された。これは筋肥大によりアルコール代謝能が向上した結果と推察できる。
お酒を飲まなくても肝臓は悪くなる
肝臓の天敵はアルコール。お酒を飲み過ぎると、肝臓に炎症が起こり、脂肪肝も進む。これをアルコール性脂肪性肝疾患という。 だが1980年、過度な飲酒がなくても、アルコール性脂肪性肝疾患と似た状態に陥ると分かった。それが非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD、ナッフルディー)。原因の多くは肥満だ。 ややこしいが、NAFLDはさらに2タイプに分類される。 脂肪肝はあるけれど、炎症が生じていないのが、非アルコール性脂肪肝(NAFL、ナッフル)。脂肪肝があり、炎症も生じているのが、非アルコール性脂肪肝炎(NASH、ナッシュ)だ。 NAFLDの約90%がNAFL、残りの10%がNASHとされる。NAFLも侮れないが、炎症を伴うNASHはより悪性。肝硬変、肝がんへ進むリスクが高い。 「さらに2020年、世界32か国の専門医が、脂肪肝の新概念としてMAFLD(マフルド)を提唱しました」(栗原先生) ややこしい話はさらに続く。 「2023年、従来のNAFLDを、代謝概念も含め、MASLD(マッスルディー)と呼称変更すると国際的に合意されました」(竹原先生)