盗撮画像で金稼ぐ加害者たち。潜入取材でとらえた「犯罪指南」の現場
画像の売上げが還元されるアプリ
無断で性的な写真を入手して投稿するのはなぜか。主な目的は金儲けだ。 加害者がよく利用している画像の送受信アプリの場合、共通の仕組みがある。アプリ内に投稿された写真や動画の入手には、パスワードと「鍵」がいる。 パスワードは投稿者が画像をフォルダにアップロードする際に、投稿者に付与。それを投稿者が、Xなどで公開する。 鍵は有料だ。 フォルダ1つを開けるのに鍵1個の購入が必要で、値段は160円。まとめて買う場合は割り引かれ、例えば次のような料金設定になっている。 動画シェア 1個 ¥160 6個 ¥650 10個 ¥1,000 30個 ¥2,900 50個 ¥4,600 100個 ¥8,800 自分の投稿したフォルダに鍵が使われると、一部の料金がポイントとして投稿者に還元される。溜まったポイントは、Amazonでの買い物に使えるギフトカードなどと交換可能だ。 2022年には、アプリのパスワードを投稿するインターネット掲示板を運営していた人物がわいせつ物頒布等罪と児童ポルノ禁止法違反の容疑で逮捕された。その人物は、サイトに掲載した広告費などで少なくとも1500万円相当を稼いでいた。多くの人が掲示板サイトを訪問していたことがうかがえる。 アプリを使わず、「直取引」する加害者も増えている。 例えば、被害者の素性がわかる情報とセットの性的画像は、高く売れる。モザイクのない映像や、本人のSNSのアカウント情報、時には名前や通っている学校名も公開されている。ある投稿者はこうした情報を渡す場合に、追加料金までとっていた。 「モザナシ、アカウント付き欲しい方 Paypay1000円or アマギフ1500円~」
盗撮カタログ
私は加害者のコミュニティーに「潜入取材」をすることにし、投稿者を装ったアカウントをXに作成した。すると数日後、熱心に宣伝を行う投稿者の一人からダイレクトメッセージが届いた。 「逆さ撮り販売中なのでよろしくお願い致します」 逆さ撮りとは、女性のスカートの中を下から撮影した盗撮写真や映像を指す。相手は「カタログ」と称して、スマホ画面のスクリーンショットを送ってきた。たくさんの動画が保存されていることがわかる。 被害者のほとんどは、制服姿の学生のように見える。マスクはしているが、顔が写ったものもあった。動画は204本あり、1本あたり10秒~30秒程度。私に、「全てオリジナルです」とアピールしてきた。 204本の動画を6000円で販売しているという。その後「今ですと格安です」と、3000円まで値下げすると売り込んできた。