盗撮画像で金稼ぐ加害者たち。潜入取材でとらえた「犯罪指南」の現場
「記事がバスったら最悪」
彼らに罪の意識はないのだろうか。 私は取材の中で、投稿者たちに犯罪行為の指南をし、さらに金を稼ぐ人物を見つけた。Xのプロフィール欄には「エロ界隈のインフルエンサー」。確認した時点で、2.3万人のフォロワーがいた。 この人物はメッセージアプリでグループチャットを作成し、Xのフォロワーを増やす方法や、アプリで収益を上げる方法などを指導していた。グループに参加していたメンバーは46人。チャットルームに入るには、PayPayかAmazonギフト券で1000円払う必要がある。 私はこのグループが開いた音声ツールでの「作戦会議」にも潜入した。彼らはTansaの記事を読んでおり、記事に書かれたXのアカウント名を変えるなどして「Tansaの記事を台無しにしよう」と話し合っていた。 作戦会議を主催した人物は、グループの仲間に向かってこう語りかけた。 「記事自体、あの人らは結構力入れて作ってる」 「僕らとしてはあの記事がね、バズったりとかなんかして、社会問題になって、警察も動かざるを得ない状況になるのがいちばん最悪やと思うんで」 Tansaが作戦会議の内容を音声付きで報道すると、グループは外見上解散した。だが再びXなどでアカウントを作れば、何度でも同じことを繰り返せる。
約300のアカウントに100万人超のフォロワー
問題なのは、こうした画像の売買を行なっているのが、一部の限られた人間ではないことだ。 私は2022年11月から約1カ月間、X上で販売のための宣伝行為をしているアカウントを数えた。動画シェアやアルバムコレクションというキーワードで検索した。 自力で見つけられただけでも、アカウントは計339に上った。 339のアカウントに対して、フォロワー数の合計は、のべ101万482人だった。300人あまりの「売り手」に100万人超の「顧客」がついている構図だ。最もフォロワーの多いアカウントは、4万2000人がフォロー。そのほか、フォロワーが1万以上いるアカウントは30あった。 これらの中には、同一人物が作ったと見られるアカウントも含まれる。違法なツイートを行っていると、Xから利用制限を課される可能性があるからだ。複数のアカウントを作成することで、制裁への対策をしている。こうしたアカウントのことを、投稿者らは「避難アカウント」と呼んでいた。