なぜ阪神「2番・佐藤」新打線は機能しなかったのか…中日に3タテを許しての6連敗でワースト記録更新
阪神が14日、バンテリンドームで行われた中日戦に1-4で敗れ引き分けを挟み連敗は6に伸びた。開幕17試合時点での1勝止まりは、1979年の西武を抜いてのプロ野球ワースト記録。矢野監督は大胆に打線を組み替え、佐藤輝明(23)をプロ入り初めて2番に置くなどの新打線を組んだが、9回に1点を返すのが精一杯。中日の先発、柳裕也(27)に135球の無四球での完投勝利を許して機能しなかった。新型コロナの陽性反応が出た藤浪晋太郎(28)に代わって緊急先発した桐敷拓馬(22)を2回で降板させ、序盤から2度申告敬遠を使うなど矢野監督は執念の采配を見せたが、連敗脱出にはつながらなかった。
中日柳に135球の1失点無四球完投勝利を許す
矢野監督は大胆に動いた。17試合目にして佐藤を4番から外して2番に据え、1番・中野、2番・佐藤、3番・近本、4番・大山、5番・糸井、6番・糸原、7番・梅野、8番・小幡という打順を組んだのである。 だが、結論から言えば、新打線は機能しなかった。先発の柳に7安打1失点無四球の135球完投勝利を許したのである。 4回に先頭の中野が左前打で出塁したが、佐藤は外のスライダーを引っかけて二ゴロ併殺打。6回には梅野、途中出場のロハス・ジュニアのヒットで一死一、二塁のチャンスを作るが、中野がショートゴロ、佐藤がセカンドゴロで得点につなげることができず、8回にも、再び梅野、ロハス・ジュニア2人でチャンスメイクをしたが、中野がショートゴロに終わった。 14試合連続安打中で、チーム打率.220と低迷する阪神打線の中で期待できる数少ない打者の1人の近本が、もし1番に入っていれば…と思わざるをえない。新打線の並びは裏目に出た。 メジャーから輸入された「2番最強打者論」は、セイバーメトリクスの理論から弾き出されたものである。出塁率の高い選手を並べると打線がつながり、逆に長打率の高い選手は並べない方が得点率はアップする。そこで出てきた発想が、OPS(出塁率プラス長打率)の高い打者を1番から順番に並べるというもの。 しかも、2番打者は3番や4番打者よりも年間にすると打席数が平均で約17、18打席は増える。トータルで強打者に少しでも打撃チャンスを増やしたいという確率論である。立ち上がりから相手バッテリーに心理的プレッシャーを与えることになり、バントなどの小技でつなぐ2番打者よりも大量得点につながるケースも増える。 ちなみに現在の阪神のOPSは1位がロハス・ジュニアの.836、2位が佐藤の.794、3位が近本の.715。佐藤の2番抜擢はデータ的にも間違いではないが、言いかえれば2番にサインのない「選手任せの野球」でもある。