阪神を開幕最速10敗に追い込んだ「記録に残らないミス」
阪神が6日、甲子園で行われた横浜DeNA戦で延長12回にもつれこんだ試合を1-6で落として両リーグ最速の10敗目を喫した。11試合目での10敗は、2リーグ分裂後、球団最速の到達記録。先発の伊藤将司(25)は9回二死まで無失点に抑える好投を見せたが、あと一人で追いつかれて延長となり、4番手の齋藤友貴哉(27)が誤算で守備の乱れなども重なり12回表に5点を失い今季5度目の逆転負けとなった。前日にようやく今季初勝利を挙げた阪神は巻き返す上で負けてはならないゲームを落とした。
異例場内アナウンス「携帯のライト点灯はおやめ下さい」
甲子園が荒れた。接戦が一転、大量リードを奪われる展開となり、ゾロゾロと観客が帰り始めた12回裏。ファンの一部がスマホのライトを点灯させてスタンドで揺らし始めたのだ。 照明をLED化した今季の甲子園では場内を暗転させる演出があり、前日のヒーローインタビューでは、ファンのスマホのライトがまるでペンライトのように美しかったが、それをプレーの妨害に使っては本末転倒。チカチカという光が目に余った球審は、二死後、試合を止め、場内アナウンスを要求。 「試合進行の妨げとなりますから、携帯電話のライトの点灯はおやめくださいませ」と異例のアナウンスが行われた。さすがにライトは消えたが、最後の打者、小野寺も三塁ゴロに倒れ、巻き返しのきっかけにしたい連勝の望みも消えてしまった。 決して“暴走“は許されないがファンの怒りも当然の試合内容。この試合のテレビ解説をした一昨年まで阪神のコーチを7年間務めた評論家の高代延博氏は、「連敗を脱出した翌日の重要なゲームで力負けしたわけではない。勝てたゲームを落とした。敗因がハッキリとわかるようではチームの立て直しには時間がかかる」と厳しく論評した。 先発の伊藤は「あと1球」で完封勝利を手にするところだった。1-0で迎えた9回二死二塁。牧をフルカウントまで追いこみながら、チェンジアップが甘く入り、うまくバットに乗せられてしまった。近本がダイビングキャッチを試みたが届かず一塁ベンチでは矢野監督が悔しそうに頭を抱えた。一塁は空いていた。牧は横浜DeNAの中で最も注意すべき打者。もっと厳しく攻めてもよかったが、連勝をかけた渾身のゲームは振り出しに戻ってしまったのである。 10回を岩崎、11回を湯浅とつなぎ、12回に齋藤をマウンドに送った。7点差を逆転された開幕のヤクルト戦で中継ぎに失敗した一人。その齋藤が誤算だった。 先頭の牧にセンター前ヒットを打たれ、続く宮崎にはボールが抜けてストライクが入らない。あわてて福原コーチがマウンドにきたが、今度は、ボールがひっかかった。結局、四球で歩かせて、無死一、二塁で、横浜DeNAベンチは大和にはバントのサイン。だが、2球続けて大きくストライクゾーンを外れた。3球目にゾーンにきたが、大和がバントを仕掛けて空振りしてしまう。二塁走者の牧はバントを想定したタイミングで三塁へスタートを切り大きく飛び出してしまっていた。だが、梅野は、一瞬、躊躇してから二塁へボールを送るが、牧は腹をくくって三塁を走り出していてセーフとなった。 高代氏は、梅野の「記録に出ないミスだ」と指摘した。