アルピーヌF1のダブル表彰台にアイルトン・セナの金言。歓喜オコン「その昔、雨はマシンがほぼ互角になるって言っていた」|F1サンパウロGP
インテルラゴス・サーキットで開催された雨のF1サンパウロGP決勝。大波乱のレース展開となる中で、勝利の女神は17番手から追い上げたレッドブルのマックス・フェルスタッペンに微笑んだ。 アルピーヌ、コンスト6番手に急浮上!|F1コンストラクターズランキング それに次ぐ2位、3位に入ったのはアルピーヌのエステバン・オコンとピエール・ガスリー。今年は前途多難なシーズンを過ごしていいただけに、この結果を大いに喜んだ。 そしてオコンは、伝説的F1ドライバーであるアイルトン・セナの「晴天では15台も追い越せないが、雨ならできる」という格言を引き、サバイバルとなったレースを振り返った。 シーズン開幕時点では最後尾を走っていたアルピーヌ。チーム首脳陣の交代が相次ぎ、親会社ルノーが2026年以降のF1パワーユニット(PU)計画を打ち切るなど、ここまでは波乱のシーズンを送ってきたが、サンパウロGPではその流れが大きく変わった。 決勝日の午前に実施された予選では、ウエットコンディションの中オコンが4番手を獲得。決勝ではバーチャル・セーフティカー(VSC)中のステイアウト戦略に状況が味方し、首位に躍り出た。 ガスリーは13番手から出走となったものの、スタートで入賞圏内までポジションを上げると、オコンと同様のステイアウト戦略を採ったことで一気に3番手まで浮上した。 その後フェルスタッペンがオコンを交わし圧倒的なペースで突き放していったものの、2~3番手となったアルピーヌの2台も好ペースで周回。レース序盤に首位を走りながらもVSC時のピットストップでポジションを落としたメルセデスのジョージ・ラッセル以下を振りきって2台で表彰台を掴み取った。 2位に入ったオコンとしては昨年のモナコGP以来、ガスリーとしては昨年のオランダGP以来の表彰台だ。 「なんて日だ!」 パルクフェルメに戻ってきて開口一番にそう語ったオコン。今年で没後30年となるセナに敬意を評しつつ、次のように続けた。 「厳しいシーズンを乗り越え、ここを走って、雨のおかげでパフォーマンス差が少し平準化されたのは本当に嬉しい」 「その昔、僕らにとって非常に重要な人物が『雨ではマシンがほぼ互角になる』と言っていた。そのフレーズは全く古さを感じさせない」 「表彰台に登れてとても嬉しい。素晴らしいレースだった」 「マシンはドライだとかなり難しくて、昨晩から今朝にかけて雨が降り始めた時は本当に安堵したよ」 「雨の中で走りたかったし、ここの雨が大好きだ。ブラジルは僕らにとって特別なレースをもたらしてくれた」 奇しくも、アルピーヌが拠点を置くイギリス・エンストンのファクトリーは、元を辿るとセナが在籍したトールマンまで遡る。1984年のモナコGPでまだ新人だったセナが豪雨の中優勝目前まで迫る2位表彰台を獲得したレースは、今も語り草となっている。 一方でガスリーは、シーズン序盤には、今季中にダブル表彰台を獲得するとは誰も予想しなかっただろうと振り返った。 「チーム全体にとって信じられないことだ。このような厳しいシーズンで、ポイントを獲得することに苦労してきた。このようなコンディションではどんなことも可能だけど、2台が表彰台に登るなんて最後まで信じられなかった」 「(アルピーヌに何が成し遂げられるか)ビンゴをしたら、誰も当てられなかっただろうね! ただただファンタスティックだ」 「今は本当に興奮している。チームを誇りに思う。こんなに厳しいシーズンを乗り越えたんだ」 「諦めるのは簡単だったけど、僕らは決して諦めなかった。僕らはここにいて、2台で2位と3位を掴み、チームに多くのポイントをもたらした。今回は誰もが誇りに思ってくれるはずだ」 アルピーヌはサンパウロGPでのダブル表彰台により35点を獲得。コンストラクターズランキングではウイリアムズ、RB、そしてハースさえも抜き、一気に6番手に立った。
滑川 寛 Ben Hunt