なぜ森保Jはグループ最下位のベトナムに勝てなかったのか…W杯“本番”に向けて浮き彫りになった課題と不安
経験を積ませるのであれば、例えば前線の左から三笘薫(24、ユニオン・サンジロワーズ)と上田綺世(23、鹿島アントラーズ)、久保建英(20、マジョルカ)を操る中盤に、6連勝の過程で主軸を担ってきた守田英正(26、サンタ・クララ)と田中碧(23、フォルトゥナ・デュッセルドルフ)をすえるのがベターだった。 あるいはベトナム戦の中盤と左の南野拓実(27、リバプール)、右の伊東純也(29、ヘンク)の両ウイングを組ませる逆のパターンも然り。ほぼ即興のメンバーを先発で送り出して「さあ、戦ってこい」では機能不全に陥るのは必然であり、うがった見方をすれば、多くのメンバーを使ったとする指揮官のアリバイ作りに思えてしまう。 もちろん、個の力でベトナムの守備網を崩せなかった事実も残る。 オーストラリア戦の終了間際に代表初ゴールを含めた2発を決め、カタール行きを決めるニューヒーローになった三笘は代表3戦目で初先発を果たし、フル出場した自分自身に「プレーとしてはまったく納得していない」とダメ出しした。 「推進力を出したかったが、その分、後ろのケアができなかった面もある。そういう意味で先発が少ないのかなと。ワールドカップ出場が決まった状況だったのでまだよかったけど、決まっていない状況でこういうプレーをすればもっと難しくなってしまう」 後半開始とともに旗手に代えて伊東を投入した森保監督は、システムを4-2-3-1にスイッチ。トップ下に久保、ダブルボランチに原口と柴崎を配置したなかで、原口のシュートのこぼれ球を前線に攻め上がっていた吉田が押し込んで追いついた。 7分後の後半16分には原口、柴崎、そして久保を下げて、守田、田中、南野を投入。アジア最終予選を戦いながら連携を成熟させてきたメンバーだけに、攻撃の質が一気に上がった。同25分は田中がゴールネットを揺らしたが、VAR判定の結果、直前に南野の右腕にボールが当たっていたためにノーゴールとなった。 同33分には左コーナーキックの流れから再び吉田が決定的なチャンスを迎えたが、左足から放たれたシュートは右ポストのわずか外側をかすめていった。 「これまで先発で出て出場時間が長かった選手たちは、後半で違いを見せてくれた。練習時間が短いなかで、すべてを評価するのは難しい。まずは『やってやろう』という気持ちでしっかり準備してくれた、選手たちの姿勢を見てあげたい」