ビッグすぎるプロレスラー伝説…「ジャイアント馬場」が片手だけでつかみとった「1万円札」は総額いくらだったか
馬場が手にした1万円札は?
イベント開催当時の1万円札(絵柄は聖徳太子)は、現在の札より1周り大きい。だが、馬場の手の平、それも利き手である右手のスパンは、筆者が印刷物で持っている原寸大の手形からすると26.5センチになる。 スパンは基本的に小指の先頭の外側から親指の先頭の外側までを測るが、あらためて馬場の手の平が、驚異的なサイズであることがわかるだろう。それも、無理に広げた大きさではないし、筆者の持つ手形は90年代のものであるため、1965年当時は、さらに大きかった可能性もある。 漫才師・B&Bの島田洋七が偶然、空港で馬場を見かけ、握手をせがむと、馬場が微笑みながら指を2本出したという話も伝わっている。それだけで、他人が握るには十分な大きさがあったのだ。 牧伸二の司会で正午にイベントはスタートし、約1メートル四方の箱にギッシリ詰められた1万円札を観て、思わず聴衆は溜め息。そこに馬場が登場し、奥まで手を入れ、むんずとつかみ、手を出した。その枚数を係員が数えるのに、10分を要したという。結果は……なんと296万円! 公募されたクイズの予想解答は100万円、もしくはその前後とするものが多く、これには関係者も驚いたようだった。 ところがその夜、馬場には意外なハプニングが待っていた。 驚くべきことに、空き巣に入られたのである。当時の渋谷区隠田(※今で言う神宮前あたり)にあった自宅に深夜帰宅すると、貴金属、カメラなど、ごっそり持って行かれてしまっていたという。馬場はこうコメントしている。 「昼にあんな大金を取ったから、俺を、よっぽどお金がある奴だと思ったのかな(苦笑)」 馬場がつかんだ金額は、体の不自由な子どもたちを預かる板橋区の施設「整肢療護園」に、クリスマス・プレゼントとして贈られている。 瑞 佐富郎 プロレス&格闘技ライター。愛知県名古屋市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。シナリオライターとして、故・田村孟氏に師事。フジテレビ「カルトQ~プロレス大会」の優勝を遠因に取材&執筆活動へ。近著に『アントニオ猪木』(新潮新書)、『プロレスラー夜明け前』(スタンダーズ)など。BSフジ放送「反骨のプロレス魂」シリーズの監修も務めている。 デイリー新潮編集部
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