無念の失神一本負けに見た「致命的な弱点」 元UFC王者が語った朝倉海の世界戦「技術的に未熟なストライカーはいつもこうする」
ショッキングな惨敗劇からいかに立ち直るか。元RIZINバンタム級王者の真価が問われている。 【動画】朝倉海がまさかの一本負け UFC王者パントージャの絞め落としシーン 異例のチャレンジだった。現地時間12月7日に米ネバダ州ラスベガスで行われた世界最高峰の総合格闘技団体『UFC』のイベント「UFC310」で、UFCフライ級王者のアレッシャンドリ・パントージャ(ブラジル)に挑んだ朝倉海(JAPAN TOP TEAM)のそれである。 UFCでは異例のデビュー戦での世界戦。日本のみならず、世界的な関心を集めた一戦だったが、朝倉はパントージャの巧妙な試合運びに苦戦。初回からび膝蹴りやカウンターの一撃で揺さぶりをかけたが、突破口を開けぬまま、2回2分5秒にリアネイキッドチョークで落とされて敗れた。 試合直後のインタビューで「これがUFCのレベルだ」「日本からやってきた選手が、すぐに俺のベルトを奪えると思ったのか」と叫んだパントージャの言葉が痛烈に響く無念の失神一本負けだった。 もっとも、UFCを熟知する戦士たちからの朝倉に対する評価は上々だ。元UFC世界フライ級王者のデメトリアス・ジョンソン氏(米国)は、自身のYouTube番組内で「カイ・アサクラの“殺るか、殺られるか”の精神は本当にリスペクトしている。彼は相手をKOするか、フィニッシュされるかの二択だ。この男に中途半端ってものはない」と積極果敢な姿勢を称えた。 一方で柔術にも長けたジョンソン氏は、朝倉が抱える「致命的な弱点」も指摘している。 「アサクラはパントージャが距離を縮めてきたら腕を伸ばして押しだそうとする。それで自分の頭に隙が出来て、守られていない。技術的に未熟なストライカーはいつもこれをするんだよ。アサクラも毎回これをする。癖みたいなものがあるな。 クリンチ、レスリング、他にも色々できるのに、毎回、プッシュ、プッシュ、プッシュだけ。俺だったら逃げずに、逆にクリンチする。内側を取ってボディーに膝を当てたら、絶対にタックルが来るからその時は切って、頭を落とす。そしたら立って殴ればいい」 さらに「アサクラの打撃面はもう十分に強い」と論じたジョンソン氏は、「そこにクリンチ、レスリング、グラップリングのどれかを足せたなら、もう文句無しになる」と断言。技術的な改善の余地があるとした。 おそらくUFCで準備されるであろう次戦で、朝倉はどこまで己を改善させられるのか。元世界王者を刺激した一戦からの成長が注目される。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]