兵庫県議会百条委へSNSで中傷、委員長宅前で「出てこい」声上げる動画も…辞職議員「身の危険感じた」
調査活動の萎縮 懸念
17日投開票の兵庫県知事選で再選された斎藤元彦知事の内部告発問題を調査する県議会の百条委員会を巡り、SNSで誹謗(ひぼう)中傷を受けることを懸念する声が県議から上がっている。選挙期間中に委員への攻撃的な投稿が相次ぎ、18日には委員の1人が県議を辞職する事態となった。 【一覧】百条委員会の委員に対するSNSの主な投稿
「あんまり脅しても、奥谷さんが自死されたら困るので、このくらいにしておきますけど」。知事選に立候補した政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏のユーチューブチャンネルでは、立花氏が選挙期間中、百条委の委員長を務める奥谷謙一県議の自宅前でマイクを握り、こう呼びかける姿が映っていた。
告発者の男性職員(7月に死亡)は、公用パソコンに告発とは無関係の私的情報を保存していたとされる。立花氏は、男性職員がその情報が漏れることを恐れて自殺した可能性が高いのに、百条委がそれを隠し、斎藤氏が原因だと思わせたと主張している。
立花氏は動画で「(奥谷氏は)パソコンの中にある情報を知っていたんでしょ」と発言。「出てこい」と声を上げ、インターホンを押した。動画は37万回以上視聴され、コメント欄には、「知事を陥れ、県民の目を欺いた罪は重い」など約1500件の書き込みがあった。
奥谷氏は18日に開いた記者会見で「大変強い恐怖心を覚え、(家族にも)避難してもらった。日常とは違う生活をせざるを得なくなり、いろんな業務に支障が出た」と訴えた。
立花氏は19日、国会内で記者会見し、「単純に選挙運動で事実を述べただけ」と語った。
百条委のメンバーだった竹内英明前県議は、選挙期間中、百条委の証人尋問で斎藤氏を追及する動画がユーチューブなどで拡散され、SNSでは「斎藤知事失脚の黒幕」などと指摘された。
竹内氏は18日、「一身上の都合」として議員辞職願を議長に提出し、受理された。関係者によると、知事選を巡ってSNSで中傷を受け、自身や家族が身の危険を感じていたという。