お金のない日本人を「4時間8000円」で行列に並ばせる…日本で暗躍する"中国人転売ヤー"の知られざる実態
転売に加担する人はどのような人なのか。『転売ヤー 闇の経済学』(新潮新書)を書いた奥窪優木さんは「中国国内に販路を持つ中国人転売ヤーの下で、日本人が日雇いとして並び屋や買い子をやっている。中国人にとって日本人は転売ビジネスに持ってこいだ」という。ルポライターの國友公司さんが聞いた――。 【この記事の画像を見る】 ■日本で活動する転売ヤーの多くは中国人 ――転売ヤーが跋扈(ばっこ)することで一般市民が定価でモノを買うことができないという事態がここ何年か続いているように思います。ただ、実際に転売をしている人たちの実像は見えてきません。奥窪さんから見て、転売ヤーとはどんな人たちなのでしょうか。 商品を安く仕入れて高く売るというのは言ってみればビジネスの基本ですよね。彼らはもちろん儲けるために転売しているのですが、そこにある種のゲーム性を感じているんだろうと僕は感じます。彼らのことを傍で見ていると、市場経済のバグみたいなものを探して儲けるというダイナミックな世界にはたしかに面白みがあるんだろうなと。 ――そんな転売ヤーたちの実像についてお聞きしたく思うのですが、そもそも現在の転売市場の盛り上がりの要因はどこにあるのでしょうか? 要因はいくつかあるのですが、まずは中国における需要の大きさがかなり影響しています。よって、日本で活動している転売ヤー自体も中国人であることが多いです。14億人のうち、0.1%の人がある商品を欲していたとしても、140万人です。それって、日本で考えるとかなり大きな需要になりますよね。 ■コロナ禍で急増した「転売需要」 それと、僕はコロナ前から転売ヤーたちの取材をしているんですが、コロナ禍で転売市場は大きな変化を迎えたと思っています。 中国政府はコロナ時、かなり厳しく都市をロックダウンしていました。そんな生活の中、例えば「ディズニーランドには行けないけど、せめてディズニーグッズは欲しい」といった需要が増えたと思うんです。ディズニーに限らず、そういった需要に日本国内にいる中国人たちが目を付けたんですね。