お金のない日本人を「4時間8000円」で行列に並ばせる…日本で暗躍する"中国人転売ヤー"の知られざる実態
――それは、なんとも皮肉な現状ですね。 限定品のようにあらかじめ供給量が決められている商品は、転売ヤーからしてみれば狙い目でしかありません。ファンも収集欲を掻き立てられるので、とにかく限定品を転売しておけば儲かるような状況になっています。 販売側がどう売ろうと自由ですが、限定品については一度立ち止まって見直す必要があると思います。今の状態では、転売ヤーに「来てください」と言っているようなものなので。 ■転売に加担する学生、主婦、フードデリバリー ――コロナ禍で転売市場がシステム化(=組織化)されたということでしたが、ピラミッドの頂点にいるのはどんな人たちなんでしょうか。 もっとも上にいるのはやはり販路を持っている人です。中国本土に販路があると強いので、自然とトップにいる人間も中国人が多くなってきます。彼らは「転売ヤー」というよりも、「貿易会社」と自認してビジネスをしています。その下にいるのが、現場で並ぶ人たちを動員する「リクルーター」と呼ばれる人たち。 トップにいる人たちがリクルート機能を持っていることもあれば、リクルートだけを行う組織が独立していることもあります。そして、末端が「買い子」や「並び屋」と呼ばれる、実際に商品の買い付けをする人たちですね。 ――末端の人間はどんなメンツなんでしょうか。 学生、主婦、フードデリバリーなどのギグワーカー、この三者が多いです。1回4時間の拘束で報酬は8000円~1万円が相場。LINEのオープンチャットで「日雇い」「日払い」などと検索すると、転売グループのチャットがいくつも出てくるんです。そうやって自分からアクセスする人が多いですね。 ■中国人転売ヤーに搾取される日本の貧困層 ――4時間で8000円~1万円と聞くと、学生や主婦にしては割のいいバイトですよね。 報酬もそうですが、彼らは「日払い」という点に吸い寄せられているんです。とにかくその日の金に困っているような人たちなので。ただ、ピラミッドの中でもっとも搾取されているのは、やっぱり「買い子」と「並び屋」なんですよ。4時間並んで1万円もらえるのであれば、普通に考えて自分で仕入れて自分で売ればそれ以上の儲けになるはずです。でも、それを考えることができないので、言葉は悪いですが「情報弱者」という言葉がしっくり来てしまいます。 とある中国人の転売ヤーは、「並ばせるのは日本人のほうがいい」と言うんです。なぜなら、「中国人はすぐに真似して自分で始めようとする」から。日本人は従順に並んで、金だけもらったら帰ってくれる人が多いらしいです。