今季も絶好調の「ロエベ」、“童心“で服作りに挑む「ヨウジヤマモト」 2025年春夏パリコレ日記Vol.4
「ヴェトモン」が停滞する原因は洋服への向き合い方にあり?
どんどん行きましょう。お次は、「ヴェトモン(VETEMENTS)」。デムナ(Demna)の「バレンシアガ(BALENCIAGA)」が進化を続ける一方、弟のグラム・ヴァザリア(Guram Gvasalia)=ヴェトモン共同創業者兼最高経営責任者(CEO)がクリエイティブ・ディレクターも務めるようになった「ヴェトモン」は停滞している印象がありますが、今シーズンも、そんな懸念は払拭できませんでした。今シーズンは、世界経済の停滞などを危惧して「古きを新しく」を心掛けたそうです。でも、デムナが「DHL」とのコラボTシャツを発表したから、グラムは「DHL」のガムテープを使ったミニドレスって、「古きを新しく」なのかな?以降もあらゆる洋服、特に終盤の肩が張ったドレスなどはデムナ時代の「バレンシアガ」そのもので、「古きを新しく」という感覚を掴み取ることはできませんでした。
グラムは、「ラグジュアリーブランドが財政的にも、創造性においても破綻した未来、人々はDIYにより自分だけの洋服を生み出す。それがラグジュアリーの未来だ」というメッセージを発信したそうですが、批判覚悟で突っ込むと「今回のコレクションこそ、創造性が欠如しているよ!」と怒りを込めて発信したいと思います。
対するデムナの「バレンシアガ」って、洋服への純粋な愛の上に立脚しているんですよね。今シーズンも、自分で紙にデザインを描き、ハサミでチョキチョキして作った洋服を、テーブルをランウエイに見立て、家族に向かってファッションショーをしていた幼少期の思い出が原点にありました。、「ラグジュアリーブランドが財政的にも、創造性においても破綻した未来」を想像する、皮肉屋のグラムとは、そもそも洋服への向き合い方が異なっているのかもしれません。そんな愛の深さが、「ヴェトモン」が「バレンシアガ」に大きく遅れをとってしまった一因に思えて仕方ありません。