今季も絶好調の「ロエベ」、“童心“で服作りに挑む「ヨウジヤマモト」 2025年春夏パリコレ日記Vol.4
「ヨウジヤマモト」は子供のような自由な感覚に着目
藪野:「ヴェトモン」の後は大雨の中、「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」のショーのためにパリ市庁舎へ。今シーズン、耀司さんが取り組んだのは「子どもたちが作るように、服を作ること」。そんな自由な感覚から生まれたアシンメトリーシルエットのドレススタイルがそろいます。その手法は、柔らかなテーラリングを大胆に作り変えたり、異なるテクスチャーの素材をはぎ合わせたり、結んでフォルムを作ったり、抽象的な形の生地パーツをあしらったり、真っ赤なストラップを垂らしたり。6月のメンズでも年々暑くなる夏に堪えるように薄く軽い生地を多用していましたが、今回のウィメンズもそんな生地感に加え、レース使い、生地の間から覗く肌、ミニ丈で軽やかに仕上げているのが印象的でした。黒を中心としたラインアップに対して、ラストには真っ赤なドレス5ルックを披露。ディテールでアクセントを加えながら「ヨウジ」らしい布使いとパターンを生かし、すっきりとしたスタイルを描きました。
今回、ショーで演奏を務めたのは、英国を拠点に活動するピアニストのパヴェル・コレスニコフ(Pavel Kolesnikov)。クラシック音楽から始まったのですが、気づくと弾いていたのは、日本の名曲「なごり雪」や「津軽海峡冬景色」。毎シーズンですが、耀司さんの哀愁漂う懐メロの選曲センスがツボです。この良さが分かるのは、日本人の特権ですね。
西の果てまで行って考えた、ショーピースと販売商品の乖離
その後は、協会バスに乗って、「ヴィクトリア ベッカム(VICTORIA BECKHAM)」のショーへ。今回の会場は、パリの西端ブローニュの森の中にある豪奢な邸宅。街灯が輝くパリの街を通り過ぎ、暗い森の中の道路をぐんぐん進んで、ようやく到着しました。“きっと内装が素敵だから、こんな辺鄙な場所を選んだのだろう“と思っていたら、まさかのショー会場は邸宅の外(笑)。ブランケットは用意されていましたが、寒さが堪えます。