今季も絶好調の「ロエベ」、“童心“で服作りに挑む「ヨウジヤマモト」 2025年春夏パリコレ日記Vol.4
「カワイイ」を追求して突き抜けた「ロジェ ヴィヴィエ」
村上:「ロジェ ヴィヴィエ(ROGER VIVIER)」が、スゴいことになっていますね。「カワイイ」を追求して、突き抜けた度胸に拍手を送りたいと思います。バックストラップのパンプスは、淡いパステルカラー。ラフィアを編み込んだバレエシューズは、グログランを足に3回巻きつけた上に、大きなリボンを結びます。同じくラフィアを編み込んだバッグは、ボーダーでフレンチマリンの香りを漂わせながら、大きなペプラムをプラス。チアガールのポンポンよろしくビニールテープを花のようにあしらったミュールは、ピンク色です。先ほど「イッセイ ミヤケ」では引き算を求めたのに、「ロジェ ヴィヴィエ」は足し算どころか、掛け算がサイコーでした。お値段はコワいところですが、こんなにクチュールライクでカワイイバッグやシューズは、唯一無二。需要はありそうです。
藪野:「ロジェ ヴィヴィエ」は最近、オートクチュール・ファッション・ウイーク期間中に贅を尽くした一点もののバッグコレクションを発表していますが、実際、それも顧客から好評なんだと思います。それで、メーンのコレクションも凝ったものがますます増えているのかと。
村上:最も若いデザイナーの一人、ハリス・リード(Harris Reed)による「ニナ リッチ(NINA RICCI)」は、回を重ねるごとに大人の階段を一歩ずつ登っています。デビューシーズンの“ぶっ飛んだ“印象はだいぶ薄れましたが、今度は“「ニナ リッチ」らしさ“を明確に定義するステージですね。でも考えてみれば、私も“「ニナ リッチ」らしさ“って、よくわかんないんです。早くから香水が大ブレイクしたせいか、創業者によるオートクチュールやプレタポルテを見る機会が少ないからかもしれません。おそらく、ウエディングのように繊細な生地を使ったドレスなどが原点にあるのでしょうが。その意味では、少しクラシックかもしれないけれど、シフォンの水玉ブラウスやビスチエタイプのミニドレスに光明を見た気がします。ハリス・リードの嗜好ともシンクロするのではないでしょうか?少しクラシックで、ともすれば映画の1シーンに思えるようなスタイルを、快活なミニ丈で仕上げたり、カジュアルなアイテムで着崩す発想が生まれると、今の劇場型なファッションショーも共感しやすくなるのかな?なんて考えました。