新NISA、相場がめちゃくちゃ下がっても「喜べる」秘密とは?「オルカン一択」にしない利点を元ファンドマネジャーがそっと解説
「敢えて賃貸に住んでいる」人が不動産をAAに組み込むには「REIT」が検討できる
ここで賃貸派の方に、長期AAに不動産を組み込む方法をご紹介します。東京証券取引所に上場している不動産投資信託というファンドで、Real Estate Investment TrustからREIT(リート)と呼ばれます。50銘柄程度が上場していて、株と同じように取引されています。10万円程度から投資できますが、分散するにはREITのみを投資対象とする投信もたくさんあります。 グローバル三分法の主要投資対象として不動産1/3とご紹介しました。持ち家の方には頑張って1/3まで下げて頂きたいところですが、多くの場合不動産が超過すると思います。2000万円の1/3で保有できる不動産は限られていますから。ですが、賃貸派の方はREITを使って容易に不動産の比率を調整することができます。ぜひご覧になってみてください。私はアパート投資の代わりに、住宅のみを保有しているREITに投資しています。
さらに貪欲に前に行きたい人は「コアサテライト戦略」も
私はこうした、ドキドキしない資産運用をお勧めしています。機関投資家時代、毎日毎日ストレスがすごかった反省です。ですが、もっと期待リターンを高めたい方もいらっしゃるでしょう。そこで、コアサテライト戦略とアクティブ・パッシブ運用についてもご紹介したいと思います。年金基金や保険会社が採用している運用手法です。 コアサテライト戦略には2つの手順があります。まずは長期AAの策定、これはこれまで説明したとおりです。それに続いて、資産の一部をリスクの高い運用手法(ヘッジファンド)・資産クラス(オルタナティブ投資)に回します。 これはより高いリスクを取ってより高いリターンを目指す運用ですので、資産全体でやってしまうと本末転倒になります。オルカン一択よりリスクが高くなるかもしれません。個人投資家としては全体の10%程度をめどにしていただきたいと思います。
アクティブ・パッシブ
最後になりますが、投信の運用に関してアクティブ・パッシブ議論を耳にされたことがある方も多いのではないでしょうか。アクティブ運用とは運用担当者が投資判断をして「期待リターンを高める」運用、パッシブ運用とは運用担当者が投資判断を排して「コスト低減に努める」運用のことです。 アクティブ運用は調査や予測にコストがかかるので、ファンドの運用コストが高くなる一方(年率で1-2%)、パッシブ運用はコストは低い(0.1-0.5%)ものの確実にベンチマークに負けます。 平均するとアクティブ運用はコストが高い分パッシブ運用に負けてしまうのですが、とびぬけて高いパフォーマンスを続けるファンドも存在します。著名な所ではウォーレン・バフェットやピーター・リンチの名前があげられますが、日本にも高いパフォーマンスをたたき出しているファンドマネジャーが実在します。 アクティブとパッシブの議論は、株式投資の個別銘柄投資とインデックス投資に相似します。個別銘柄を選ぶことでインデックスに勝てるのか、勝てるとしてそれはコストを上回るのか、という議論です。 パフォーマンスの良いファンドを見つけることは、株価の上がる個別銘柄を探すことと同じです。個別銘柄投資で勝てると思う方は、アクティブファンド投資も選択肢に入れてよいでしょう。「オルカン一択」に辿り着いたあなた、あなたはそのままパッシブ運用を続けてください。タイパ、コスパは保証します。 次回はシリーズ最終回です。「実践・元機関投資家の資産運用」と題して私が個人投資家としてどんな運用をしているのかについてご紹介したいと思います。それでは皆様ごきげんよう、ドキドキのない資産運用を祈念しています。
投資家・文筆家 澤田信之