「結構打たれた」と7回6安打1失点を評した佐々木朗希はなぜ無傷の4勝目を手にできたのか…修正力と「勝てる投手」の条件
池田氏は、粘りの投球を生んだ修正、対応力を評価した。 「調子が良かったのか、悪かったのかで言えば、良くはなかったと思う。最速163キロを出した投手を調子が悪かったと評するのもおかしな話だが、それくらいの高いレベルにある投手ということ。悪かった理由は、ストレートのシュート回転と、フォークの制球力不足。おそらくこの2つはリンクしていたのだろう。あれだけの強いボールを投げることができ、しかも、手足の長い投手なので、我々が想像できない部分での微妙な狂いが出てくるのだと思う。しかも、京セラのマウンドは、まだ今季2試合目。本拠地のZOZOとは違う高いマウンドでの修正、調整に序盤は時間がかかったのだろう。その状況の中で、しっかりと粘って、徐々に修正、対応してゲームを作った。そういう力こそが、勝つ投手の条件であり、この日の投球で評価すべき部分だろう」 7回は一死から池田をストレートで三振に打ち取り、続く野口への4球目に投じたストレートは、この日の最速タイとなり163キロを表示した。2-2と追い込んでから、松川のサインにクビを2回振って、笑みを浮かべた佐々木は、問題含みだったフォークを選択。空振りの三振で締めた、そのウイニングショットの球速は147キロだった。スポーツ各紙の報道によると、井口監督は「8回にいくと100球を超える」と判断して、この回限りでお役御免となった。 86球のうちストレートが39球で、フォークが36球。これまでに比べてフォークの比重が大きかった。ストライク率は約64%での無四球。オリックス打線の戦略と、自身の調子を考え「打たせて取る」ことに主眼を置いての配球だったのだろう。 チームは8回にスクイズとレアードの一発で追加点を加えた。連投となるストッパー益田をベンチに入れていなかったが、西野ー新外国人のゲレーロの継投で逃げ切り、3連勝。佐々木の「勝つ投球」でオリックスと入れ替わりで4位に浮上した。 「高部(瑛斗)さんが特にいっぱい打ってくれて走ってくれたので、本当に感謝しています」 佐々木は3盗塁でひっかき回して、2度、ホームを踏んだリードオフマンの高部への感謝の言葉を忘れていなかった。オリックスへの敬意やチームメイトへの感謝の気持ちを言葉にできる姿勢が、佐々木のもうひとつの魅力であり、愛される理由である。 3、4月の月間MVPを受賞した佐々木の次回登板予定は、中6日で20日の敵地でのソフトバンク戦。エースの千賀と5月6日に続き再度の投げ合いとなる。今季初登板となるペイペイドームのマウンドとの相性に懸念はあるが、エースとのマッチアップは、さらに佐々木の集中力を研ぎ澄まして、その底知れぬポテンシャルを引き出すことになるのかもしれない。 (文責・論スポ、スポーツタイムズ通信社)