「結構打たれた」と7回6安打1失点を評した佐々木朗希はなぜ無傷の4勝目を手にできたのか…修正力と「勝てる投手」の条件
佐々木は、初回一死から宗に157キロのストレートを逆方向のレフト前へと弾き返され、あっさりと記録への夢は断たれた。だが、バットをふた握り分は短く持った紅林を外角のストレートで押し込み4-6-3の併殺打。オリックスの戦略を逆手に取り、立ち上がりは、わずか4球である。 しかし、2点目の援護点をもらった直後の3回裏に失点した。先頭は、大阪桐蔭高で主将を務めたドラフト5位の高卒ルーキー池田。外角を狙った初球の161キロのストレートをコンパクトに捉えられた。セカンドの左を抜けていくセンター前ヒット。この反撃機にオリックスベンチはバントで走者を送らない。同じく関大出のルーキー野口に強行させ佐々木は二ゴロに打ち取ったが、続く伏見にフォークをうまくセンター前へと運ばれた。この日の佐々木は、フォークの制球に苦しんでいた。 一死一、三塁で、ロッテベンチは併殺狙いの中間の守備隊形を選択した。福田にはフォークを3連投。その甘く浮いたフォークを逆方向に転がされた。三遊間への詰まった打球を前進してきたエチェバリアがうまくさばき二塁でフォースアウトにしたが、併殺崩れの間に野口が生還した。 1点差とされ、さらに二死一塁からオリックスベンチが仕掛けてくる。佐々木も俊足の福田を警戒して、2度、プレートを外して牽制の仕草を見せた。その初球は外角へ外したのだが、宗がセーフティバントの構えで援護。福田に盗塁を決められてしまう。 ピンチでギアを入れ替えて粘るのが、この日の佐々木だった。揺さぶられても、それ以上は崩れない。 宗に対してストレートでカウントを2-2に整え、最後はフォークで勝負。145キロのフォークは、抜けることなく切れ味鋭く落ち、宗のバットは空を切った。 ピンチは6回にもあった。 一死から宗にフォークの抜けをまた逆方向のレフト前へ打たれ、続く紅林の遊ゴロは、エチェバリアの好守に助けられたが、4番の頓宮に、ど真ん中へ吸い込まれたフォークをレフト線に運ばれ、二、三塁とされた。一打逆転である。だが、バレラを迎えて佐々木が、再びスイッチを入れた。ここでもフォークの連投。いずれも甘いボールだったが、ストレート狙いのバレラは、裏をかかれたかのように続けて見逃した。 0-2と追い込むと、佐々木ー松川のバッテリーは、まず158キロの”吊り球”を見せておいてから最後はフォーク。それは内角に大きな落差で落ちた。バレラをスイングアウトに打ち取ると佐々木はガッツポーズ。コントロールに苦しんだ変化球をここ一番では修正してきた。