【ABC特集】かつては「月100時間の残業に給料は4,50万円」 “物流2024年改革”から2ヵ月 トラックドライバーの働き方はどう変わった? 東京-大阪の夜行便に同乗8時間
過酷と呼ばれるトラックドライバーの働き方を改善するため、いままで”ほぼ無制限”だった時間外労働に、今年4月から年間960時間の上限が設けられることになりました。 トラックドライバー達の働き方には余裕ができる反面、総配送量の減少による配達の遅れなど、”私たちの生活に影響が出るのでは”と言われているのが「物流の2024年問題」です。 その施行からもうすぐ2ヶ月、トラックドライバー達の働き方はどう変わったのか?実際の現場を見てきました。
東京→大阪の夜行便に同乗 走る前も約2時間の”荷積み”
取材をさせてもらったのはアパレル物流大手で、服にしわなどがつかないようそのまま衣服を輸送する「ハンガー輸送」のパイオニア企業、浪速運送(創業1924年、従業員数3050人)です。
ゴールデンウィークが明けてすぐの今月9日。 東京・江東区にある浪速運送の東京センターから東大阪市にある倉庫まで、長距離トラックを担当する西村博さんの仕事に一晩密着しました。
午後8時、10トントラックと呼ばれる大きなトラックがセンターに入ってきました。西村さんが積むのは、大きさがそれぞれバラバラの段ボール箱。それを2~3時間かけて手作業で積みます。 「『甘積み』をして万が一載り切らなかった時は、東京で一晩留めるか。留めたら配達の遅れになるので、お客さんに迷惑がかかるし。積み方のコツは、テトリスですね」 長さ約6m、幅と高さおよそ2.5mの大きな荷台を2時間半ほどで満杯にした西村さん。午後11時すぎ、休むひまも無く東京の倉庫を出発しました。約8時間後の翌朝午前7時に東大阪到着を目指して走ります。
4月に施行も 働き方に「大きな変化なし」 大手では以前から対策進む
「物流の2024年問題」対策が4月に施行されましたが、3月以前と比べ、西村さんの働き方に大きな変化は無いといいます。 「1カ月経ったけど何も変わってないですからね。何年か前から、勤務時間を減らしましょうという動きが会社であったので」。 浪速運送では2024年問題の施行を見越して、数年前から ・荷主からの集荷時間の前倒し ・適正運賃への引き上げ ・東北~中国地方間などの”超長距離便”を廃止。関西地域での中継便に切り替え などの対策を行っています。 特に集荷時間の前倒しは、物流センターに荷物が早く集まることで、長距離ドライバーの出発時間を早める事につながり、労働時間削減にも寄与しているとの事です。
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