【ABC特集】かつては「月100時間の残業に給料は4,50万円」 “物流2024年改革”から2ヵ月 トラックドライバーの働き方はどう変わった? 東京-大阪の夜行便に同乗8時間
ルートはあえて”東名高速” その理由は「血眼になって走るドライバーが・・・」
新東名高速道路と東名高速道路の分岐点、御殿場ジャンクションに差し掛かった西村さんは、古くからありカーブも多い東名高速道路を選びました。 道が新しくカーブも緩い新東名高速道路は、西村さんいわく「血眼になって走るドライバーが多い」印象との事。普通車との速度差も小さく、車両台数も少ない東名の方が走りやすいんだそうです。 その後西村さんが運転するトラックは、浜名湖サービスエリアで30分ほどの休憩をはさみ、伊勢湾岸道路→新名神高速道路を経由して午前7時15分ごろ、予定通りの時間に東大阪の倉庫に到着しました。 しかし、これで仕事が終わる訳ではありません。 およそ45分間かけて荷下ろしを行い、午前8時ごろ、すべての業務が終了しました。 西村さんは約12時間後の午後8時から、東京に戻る便を担当する業務に就きます。
荷物は別のドライバーへ引き継ぎ 「荷役」は拘束時間の1/4を占めるとのデータも
別の日、東大阪に到着した荷物は別のドライバーに引き継がれました。 生櫻賢史さんは、大阪・箕面市にある衣料品店やアパレルメーカーの物流倉庫など8カ所に荷物を届けます。 生櫻さんが積み込むのは、ハンガーに掛かったままの約600着の衣服。その衣服の荷積み、「荷役」(にやく)と呼ばれる作業を、約1時間かけて一人で行います。 「実際、作業する人がいないのもあるが、自分で積んだ順番だったら荷物を把握できるじゃないですか。誤配の防止にもなりますし」
国土交通省によると、ドライバーの拘束時間のうち、荷役に占める割合は、1回の勤務時間のうち4分の1を占めるといいます。ドライバーがより長く走るためには、こうした仕組みを変える必要がありますが、早急な改善は難しいのが実情です。
「入社すぐ40万~50万円」も”潮目が変わった” 「高給取り」は過去の話
33年前、二十歳の時からトラックドライバーとして働く生櫻さん。以前は”高給取り”だったドライバーでしたが、潮目が変わったと感じています。 「昔は歩合制の仕組みがあって、荷物を多く運んだら、その分自分に見返りがあり、僕が入社すぐの時に、給料は40万円から50万円はあった。残業が月に100時間近くあった時もあったけど。今はあえて好き好んでこの業界に入りたいという人もいないでしょうね。多分」 そして、深刻な問題として迫るのが、若いトラックドライバーの減少。総務省の調査では、29歳以下の労働者の割合が、全産業平均では16.3%なのに対し、ドライバーでは9.1%にとどまっています。 およそ30着のスーツを紳士服店に届けた生櫻さん。 当たり前の様に、店頭に商品が並ぶ裏には、荷主の元に荷物を届けるトラックドライバーが必要なのです。
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