なぜ横浜DeNAは中日との”セ最弱決戦”に敗れ泥沼9連敗を喫したのか…「4球で5失点」の悲劇に見え隠れした敗戦心理
実は、このイニングに両チームの戦略の明暗が見え隠れしていた。 与田監督は、「特別なことをしてきているわけではない。これまでコーチが根気よくやってきたことがいい形になった。阿部が初球からあれだけ強いスイングができたこともそう。いろんな迷いがね(吹っ切れた)。アウトになっても初球から強くスイングできていた」とコメントしている。貧打に悩む中日が徹底していたのが積極性。そこに活路を求めた。戦略としては正解である。 阿部は、スコアレスドローに終わった前日のゲームで7回無死一、三塁のチャンスにショートライナーに倒れ大野雄大の好投に報いることができていなかった。与田監督によると「雄大に勝ちをつけれない悔しさをベンチ、ロッカーで凄く感じていた」とのことだから、この打席では、汚名返上をかけてファーストストライクから強振してくるのは目に見えていた。横浜DeNAバッテリーは、その心理を読んで手玉に取らねばならなかった。この場面こそ慎重にボール球から入って誘うべきところだった。しかしルーキーの入江にそこまでの余裕はない。追加点をやりたくないという心理が逆に勝負を焦らせた。本来ならばキャッチャーの戸柱、あるいはベンチが指示してカバーすべきだった。いわゆる防ぐことのできた失点だったのである。 中日には裏を返す野球をされてしまう。 勝野には7日の試合でも無失点に抑えられ、しかも、この8連敗中に打線は14日のヤクルト戦で3点を取ったのが最多で平均得点が1.37点。中日と同じく打撃不振に苦しむ横浜DeNAも積極策を取った。だが、その打ち気を勝野ー石橋の若いバッテリーに逆手に取られた。 ストレート、変化球を共に丁寧に膝下に集めて誘われ、インローを突くストレートで押し込まれた。横浜DeNAベンチは6回には円陣を組んだ。指示について三浦監督は「言えない」としたが、その回、今度は、高めの釣り玉を使われ、宮崎は、その罠にまんまとひっかかり二塁ゴロに終わっている。与田監督は「ストライクを先行できた。勝野はフォークもスライダーもうまく使えるピッチャー。横浜打線は強力なので初回からミックスしながら高さを間違わないように(指示した)。石橋がいいリードをしてくれた。バッターに合っていない球種をうまく使った」とバッテリーの頭脳的配球とそれを実行した勝野のコントロールを絶賛していた。 7回にスタメン復帰6試合目のオースティンに待望の一発が出て、あわや“ノーノ―“の屈辱だけは脱した。だが、続けて二死から二塁打を放ったソトが、柴田の打席で飛び出して石橋の送球で刺されるボーンヘッド。反撃ムードを自ら手放すことにもなった。