なぜマー君は8年ぶりの復帰登板で勝てなかったのか?
ヤンキースから楽天に復帰した田中将大(32)が17日、東京ドームで開催された日本ハム戦に“日本一”を決めた2013年11月3日の日本シリーズ第7戦以来となる日本のマウンドに立ったが、5回を投げて中田翔(31)、石井一成(26)に2人に被弾して4安打5奪三振3失点で降板。チームは1-4で敗れ、田中は負け投手となり、2012年8月26日の日ハム戦から続いていた国内の連勝は「28」でストップした。田中の黒星は2012年8月19日の西武戦以来3163日ぶりとなった。鳴り物入りで古巣に帰ってきたマー君はなぜ勝てなかったのか?
捕邪飛に打ち取ったと思った次に起きた悲劇
2722日ぶりの復帰の挨拶は136キロのスライダーから始まった。先頭の西川を追い込みインハイを狙って148キロのストレートでスイングアウト。2番の渡邉の打球はセンターへ抜けかけたが、小深田の超美技で助けられた。スタートは素晴らしかった。 しかし二死をとって田中のストレートの制御がきかなくなった。近藤にひとつもストライクが入らずに四球を与えた。続いて打席に入ったのは、ここまで打率.186で本塁打のなかった4番の中田。だが、不気味な不運が田中を襲う。スライダーで空振りを取った後の2球目。149キロのストレートに振り遅れた中田の打球は、高々とキャッチャーの後方に上がった。太田はネットに張り付くが、ドームの天井の灰色とボールが重なったのか。そのファウルを見失う。無情にも待ち受けていた後ろにボールが落ちた。こういう事態の次には何かが起きるもの。 カウント1-2からマー君は太田のサインにクビを振った。中田はストレートをファウルにしたが、スライダーやスプリットにタイミングがあっていなかった。おそらく太田は変化球を要求していたのだろう。だが、中田には2月20日に沖縄で行われた練習試合でも1回一死一、二塁から甘いスライダーを引っ張られ3ランを浴びている。その“マー君キラー”を打席に迎え、“プレ対決“の一撃が頭をよぎったのかもしれない。 田中が選択したのはストレート。太田はインコースにミットを構えていた。だが、154キロを表示した勝負球は“逆球”となってやや外寄りの高めに浮いた。ホームランボールである。 「日本を代表する凄いピッチャーなのでぶつかっていくだけ」 ”無心”の中田は、それをドンピシャのタイミングで捉えた。快音がドームに響き、左中間スタンドへアーチを描く。先制2ラン。中田にも、マー君の球筋イメージは残っていたのだろう。 「気持ちで打った。あまりハッキリ覚えていない。こんなしょうもない4番をファンが応援してくれていたので、その気持ちがボールに乗り移ってくれたかなと思う」