日銀・黒田総裁会見3月18日(全文2)今後も粘り強く緩和を続ける必要がある
デフレ的、それともインフレ的に見ているのか
ニッキン:ニッキンの【タダ 00:37:44】と申します。異次元緩和が間もなく10年目に入りますけれども、形はどうであれ、物価目標2%が視野に入る中で、大規模緩和に対する総裁の所感を教えていただきたいのと、あとちょっと加えてなんですけれども、これまでの会見でも何度か伺いましたけれども、コロナ禍が物価に与える影響について、例えば感染拡大初期などと比べて、デフレ的に見てるのか、インフレ的に見ているのかっていう観点で、世界的な議論ですとか、総裁のご自身の見方に変化があるのかを教えていただければと思います。 黒田:あくまでも2%の物価安定目標というのを金融が緩和された状態で、経済が成長し、企業収益も拡大して、賃金も上がっていくという中で物価が上がっていくっていうことが重要であって、足元では物価が上がっている要因の相当部分が国際商品市況の上昇による輸入物価の上昇に起因するものである限りは、仮に2%程度になったとしても、私どもの考えている2%の目標が達成されたっていうことではないと思いますので、現在のイールドカーブ・コントロール、日銀当座預金の一部にマイナス0.1%の政策金利を適用し、10年物国債金利を0%程度、プラス・マイナス0.25%程度のところに保つというイールドカーブ・コントロールは適切であり、今後とも粘り強く緩和を続けていく必要があるというふうに思います。
経済構造、労働市場の状況で違ってくる
コロナの影響っていうのはよくいわれていますように、需要と供給と両方に影響するわけですね。供給面では生産の停滞とか、あるいは供給制約でなかなか生産が拡大できないとか、そういう供給の制約があると同時に、コロナが、感染症が広がって、人々が外出を抑制する、あるいは公衆衛生措置が取られるということになりますと、特に消費需要が低迷するっていうことになりますので、需要の低下と供給の低下と両方起こりますので、どちらがどのように展開していくかっていうのは、それぞれの経済の構造にもよりますし、それからタイミングにもよるっていうことだと思います。 で、比較的早く、コロナ感染症に対するさまざまな公衆衛生措置を解除してきた欧米の状況を見ますと、かなり急速に需要が伸びると。ただ、その際に、特に米国の場合ですけども、雇用が十分、失業率が下がっているんですけども、就業率がなかなか戻ってこないという形で、労働市場は極めてタイトになって、賃金が上昇する。そして物価も上昇するということが起こっているわけでして、そういう意味では、タイミングによって、それからそれぞれの国の経済構造、労働市場の状況などによっても違ってくると思います。 わが国の場合は、これまでのところ、供給も需要も押し下げられていたわけですけども、このところようやく、コロナ感染前のGDPに近くなっているということですので、供給のほうは相当程度追い付いてきていると、生産は追い付いてきていると思いますけれども、特に今年に入ってから消費が、オミクロン株の影響でサービス消費が低迷したっていうことがあったと思います。で、そのために、物価上昇率はむしろ1月が0.2%になっていたと思うんですけども、この1月だったか、2月だったか。1月、そうですね。2月が0.6になっているわけですけども、これは、上がったのは、相当程度、国際商品市況の上昇で輸入物価が上がったことが反映してきているというふうに見ております。どうぞ。