女性は運動してもしてなくても、認知症には関係ない!? それでも「運動習慣は超大事」な理由【山田悠史医師】
世界最高峰の老年医学科で働く山田悠史医師が、脳の老化と認知症の進行を遅らせるために「本当に必要なこと」「まったく必要でないこと」を伝えます。 【グラフ】認知機能を改善する可能性あり!地中海式の食事のすごい効果
山田 悠史 米国内科・老年医学専門医。慶應義塾大学医学部を卒業後、日本全国の総合診療科で勤務。新型コロナ専門病棟等を経て、現在は、米国ニューヨークのマウントサイナイ医科大学老年医学科で高齢者診療に従事する。フジテレビ「ライブニュースα」レギュラーコメンテーター、「NewsPicks」公式コメンテーター(プロピッカー)。カンボジアではNPO法人APSARA総合診療医学会の常務理事として活動。著書に、『最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM』、『健康の大疑問』(マガジンハウス)など。 X:@YujiY0402 Podcast:山田悠史「医者のいらないラジオ」 Spotify Apple Podcasts Anchor Voicy 私の患者さんには、90歳、100歳になっても認知症の全くない患者さんが大勢います。中には100歳になられた現在も、アクティブにボランティア活動をしている方や大学で教鞭をとる方もいます。その方たちにお話を伺うと、自分の脳の働きがシャープであり続ける理由として、からだを動かし続けてきたのが良かったのではないかと答える方が一定数います。例えば、90歳で今も一人で自分の足で通院してくる患者さんは、「天気の良い日は外でのウォーキングを欠かさない」と教えてくれました。
運動の認知症予防効果
これまでの研究から、少なくとも体を動かさない生活が認知症と密接に関係することは、以前の記事「家から出ないで座っている」でもご紹介した通りですが、それに加えて運動が認知症予防に役立つ可能性も示唆されています。とはいっても、エビデンスは思ったほどクリアではありません。 例えば、平均年齢78歳の945人の高齢者を対象にした研究(参考文献1)では、参加者を3つのグループに分け、それぞれ異なる運動プログラムを5年間続けてもらっています。一つ目のグループは、運動プログラムなしで通常の生活を続けるグループ。二つ目は、週に2回の中等度の連続した運動(ジョギングをイメージしてください)を行うグループ。三つ目は、週に2回の高強度インターバルトレーニング(休みを挟んで短距離走を繰り返すイメージをしてください)を行うグループです。