真田広之、エミー賞で見せたタキシード姿の秘密 「自分らしく」がハリウッド流
連載《ニュースなルック》
「これまで時代劇を継承して支えてくださった全ての方々、そして監督や諸先生方に心より御礼申し上げます。あなた方から受け継いだ情熱は海を渡り、国境を越えました」 【写真はこちら】エミー賞授賞式、トム・クルーズと2ショット、「伊賀忍法帖」…あの時の真田広之をチェック! ロサンゼルスで行われた米テレビ界のアカデミー賞ともいわれる最高峰の賞「第76回エミー賞」の授賞式で、動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」から世界同時配信された「SHOGUN 将軍」が主演男優賞をはじめ、史上最多の18部門を受賞した。その時の真田広之氏の受賞スピーチである。いやぁ、時代劇を撮ってきた先人たちに感謝と尊敬の思いを込めた真田広之氏の真摯でジェントルマンなスピーチはほれぼれするほど格好いい。
映画「ラストサムライ」(2003年)の出演を機に米国へ渡り、数多くのハリウッド作品や海外ドラマに出演して世界的なアクターとして海外でも知名度を得た真田広之氏。しかし、いまだにハリウッドの映画界に残る日本人と日本文化の間違った描き方には幾度となく辛酸をなめてきた。 役者としてだけではなくプロデューサーとして「海外の人に誤解されないよう、より正当な作品を作ることが必要だった」という熱い思いを込めて制作したのが、スペクタクル戦国時代劇「SHOGUN 将軍」だ。
■ハリウッドの間違った日本人、日本文化を修正
確かに、あの高倉健氏でさえ、「ブラック・レイン」(1989年)では日本の刑事が昭和の時代の狭い団地に住んでいて何かといえばすぐお辞儀をしたり、松田優作氏とマイケル・ダグラス氏がなぜか大阪の郊外にある畑のあぜ道で泥まみれになりながら格闘したり、古くは丹波哲郎氏が出演した「007は二度死ぬ」(1967年)で、ショーン・コネリー氏演じるジェームズ・ボンドが城でニンジャと手裏剣で戦い、熱海の温泉のような大浴場ではゲイシャガールと戯れたり。ハリウッド映画で描かれてきたNIPPONは、当のわれわれ日本人がみたらギャグでしかない。 時代劇となればなおさらだ。自らプロデューサーを兼任した「SHOGUN 将軍」で、真田広之氏はハリウッドが長年間違って描いてきた日本文化を見事に軌道修正してくれたのである。これまでの間違った日本文化の描き方ではなく、今の時代に日本の時代劇が海外にも正確に伝わるように、細部まで綿密にこだわって時間をかけて練り上げた脚本。出演する日本人の役者は日本語のセリフ。衣装、美術、メイク、所作など、時代劇のあらゆる分野のスペシャリストを、古巣であり若い頃にお世話になった京都の撮影所から招集。拍手しかありません。パチパチパチ!