【野球浪漫2024】ロッテ・国吉佑樹 逆境を知る「いろいろな人が僕のピッチングを見てくれている。本当に幸せ」
ちなみにベイスターズのときは緊急登板。3点リードの場面で登場した抑えの山崎康晃投手が先頭打者の頭部に当て危険球退場。まさかの1球退場となった。ブルペンは大慌て。まずは別の投手がマウンドに上がったが、その後もピンチは広がり一死満塁で名前を呼ばれ後続を抑え、セーブを挙げた。 「懐かしいですね。ベイスターズのときは本当に緊急での登板だったので心の準備もない中でマウンドに行って先頭は押し出しの四球。でも、そのあとは大和さんを三塁へのライナー。最後はマートンを三振で抑えてセーブを挙げました」と国吉は振り返る。結局、トレード後、25試合に登板して2セーブ17ホールドで防御率1.44。一時は優勝マジックを点灯させ最後の最後までバファローズと優勝争いを繰り広げ、最終的には2位となったチームの快進撃をブルペンで支えた。 国吉と言えば150キロを超えるストレート投手の印象だが、ベイスターズ時代にカットボールを覚えたことで投球の幅を大きく広げることになった。教えてくれたのは現役も共にしたことがある大家友和コーチ。18年、二軍ピッチングコーチに就任したメジャー・リーグで通算51勝した大先輩に国吉は「ストレートがうまく投げられないです」と率直に悩みを打ち明けた。当時はストレートとスライダーのコンビネーションで打者と勝負をしていた。しかし、やはりどんな速いストレートを持っていても球種が少なければ、絞られて打たれるのがプロの世界。行き詰まりを感じていた。 「大家さんは現役時代、ボールを動かすタイプだった。だからツーシームとかカットボールのような小さく曲がるボールはどうかなという話をしてくれた」と国吉。 そこからいろいろな握り方を試した。そしてたどり着いたのは今のカットボールのベースになるもの。握り方は最初に教えてもらったものとは少し違ったが大家コーチは「握り方は人それぞれ。正解があるわけではなくその人が合うものが一番」と優しく話をしてくれた。 「試行錯誤して今の形になった。打者も狙い球を絞りづらくなったと思う。それにカウントを悪くしても投げられるくらいのボールになった。本当に教えてもらったタイミングがよかった。あそこからストレートもしっかりと投げ切れるようになった。教えてもらってよかった」と振り返る。 マリーンズに移籍した今ではこのカットボールが打者を翻弄するキーとなる球種となった。ストレート、スライダー、カーブを合わせて凡打の山を築き、24年は開幕を一軍で迎えるとブルペンの大事なパーツとして躍動。9月5日のイーグルス戦(ZOZOマリン)で球団記録の21試合連続無失点を更新した。