井上尚弥の”暫定対抗王者”誕生に疑念の声
ガバリョはロドリゲスが井上尚弥戦でボディを打たれ苦悶の表情を浮かべてキャンバスに沈んだ試合を参考にしたのか。中盤からは強引なボディ攻撃を仕掛けた。ロドリゲスは嫌そうな仕草をしていたが、10ラウンド、11ラウンドと終盤にも強烈なジャブカウンターで応戦。的確にフィリピン人の顔面を打ち抜いた。その一撃にガバリョの足はパタッと止まっていた。 専門機関のデータによると、ガバリョはトータルで520発のパンチを放ち、18パーセントにあたる93発のパンチを当て、一方のロドリゲスは372発中、29パーセントにあたる109発のパンチをヒットさせた。手数ではガバリョ、効果打ではロドリゲス。試合終了のゴングと同時にロドリゲスは胸を一度叩き、勝利を確信していたが、無情にもジャッジは、クリーンヒットは12ラウンドを通じて、わずかに1、2発程度しかなかったガバリョの積極性と手数を支持した。 ロドリゲスは、井上尚弥に敗れた後、昨年11月の再起戦で、あの“悪童”元WBC世界バンタム級王者、ルイス・ネリ(メキシコ)との1戦が組まれていたが、この試合も、ネリが計量失格となって流れ、今回の暫定王座決定戦は、井上尚弥戦以来のリングだった。 米メディアは、この判定に疑問の声をつきつけた。 権威あるリング誌も「ガバリョがロドリゲス戦で論議を呼ぶ勝利を引き出す」との見出しを取り、ショータイムのファーフッド氏の「悪い採点だ。ガバリョは試合を通して攻撃していたが、ほとんど無効だった」との声を紹介。またショータイムの殿堂解説者であるアル・バーンスタイン氏の「これには言葉がない。ロドリゲスはラウンドをコントロールした。綺麗で効果的なパンチを放ち、当たっていたパンチのほとんどは明らかに彼のものだった」とのコメントも加えた。 専門サイトの「ボクシングシーン」も 「疑問の判定勝利」と見出しを取り、「ロドリゲスは試合のなかった長い月日を終え、2020年の戦いを元気よく終わらせるところだったが、この年で疑いなく最悪のリング判定の1つとなる落胆の試合で締めくくることになった」と皮肉を込めて伝えた。同メディアは、データで弾き出されたトータルパンチ数の多さがジャッジに好感を与えたとの見方を記した。