“カネロ”アルバレスが18センチ身長差克服の圧勝劇で世界Sミドル級王座統一…「ゴロフキンが戦うのであれば受ける」
ボクシングのWBA世界スーパーミドル級王者のサウル“カネロ”アルバレス(30、メキシコ)が19日(日本時間20日)、米国テキサス州サンアトニオのアラマドームでWBA世界同級スーパー王者のカラム・スミス(30、英国)とWBA王座の統一戦及びWBC世界同級王座決定戦を行い3-0の判定で勝利した。18センチの身長差をものともせずジャッジの2人が119ポイントをカネロにつける一方的な展開となった。カネロはWBA世界ミドル級スーパー王者とWBC世界ミドル級フランチャイズ王者を保持しており、前日に7回TKO勝利で存在感を示したIBF世界ミドル級王者のゲンナジー・ゴロフキン(38、カザフスタン)との3度目の対決に注目が集まっているが、「ベストな相手と戦う。もし彼が戦うのであれば、私はその戦いを受ける」と注目発言を行った。
27戦無敗のスミスはサンドバッグ状態だった。1ラウンドこそ両者は互いに様子をうかがうような立ち上がりだったが、2ラウンドからカネロが徐々にプレッシャーを強めると3ラウンドからは独壇場となった。 「第3ラウンドまで、彼が何を放ってくるのか、スキルはどのようなものかを見てみたかったんだ」 序盤の静かな展開は、体格でハンデがあるスミスの力量のチェックだったわけだ。 ガードを固めながらプレスをかけ、スピードの乗った正確な左ジャブでロープにおいつめ、右フック、右ボディ、右ストレートとパワーに溢れた破壊力のあるパンチを次々と打ち込んでいく。スミスは17センチのリーチ差を生かした左からのコンビネーションブローや至近距離からの右アッパーで対抗しようとするが、スピードもパワーも違い過ぎた。ロープを背負い亀のようにブロックを固め、ただ防戦一方である。 カネロはブロックの上からでも容赦なくパンチを叩き込む。7ラウンドからは、右のアッパーカットをガードの下からねじこみ、9ラウンドには強烈な右ストレートを見舞ってスミスはロープに吹っ飛んだ。 攻撃だけではない。カネロは、昨年11月2日、WBO世界ライトヘビー級王者セルゲイ・コバレフ(ロシア)に階級の壁を越えた挑戦をして11回TKO勝利して以来、約1年1カ月ぶりのリングだったが、その間、ディフェンス技術を磨いたのだろう。スミスのパンチをガードにウェービング、ダッキングのボディワークをミックスさせ完璧に封じた。スミスのボディ攻撃を鋭い反応で、ヒジやパーリングで防ぐ“神技テクニック”も披露した。攻守にわたってアンタッチャブルな試合をしたのである。 試合後、スミスは「彼のジャブは背の低い選手としては良かった。ディフェンスも良かった。とらえるのがとても難しかった。彼はまさに自分が想像していた選手だった」と脱帽したが、左でコントロールされ反撃も断たれるのだから勝つ術は残っていなかった。