「密を回避」「予想と違った」コロナ禍の聖火リレー 岐阜で聞いたランナーと沿道の声
●天下分け目の古戦場「関ケ原」
2日目の4日朝、聖火リレーは日本三名泉の一つともいわれる下呂温泉のある下呂市から出発した。聖火はそれから南下し、各務原市を経て、午後に岐阜県の西端にある関ケ原町に到着した。 他県と勘違いされることも多いが、関ケ原は徳川家康が勝利した天下分け目の関ケ原の戦い(1600年)が行われた場所だ。町内各地に家康が陣をしいた場所などの史跡があり、昨年10月にはコロナによる延期の末、岐阜関ケ原古戦場記念館がオープンした。 関ケ原のコースは、この古戦場記念館の前から石田三成が陣を置いた笹尾山までを10人でリレー。最終走者は、2016年のNHK大河ドラマ「真田丸」で三成を演じた山本耕史さん(44)が務めた。 前日とは一転して、この日はあいにくの雨だったが、聖火を託された山本さんは祝砲の後、笹尾山を登り、三成の旗印の入った幟(のぼり)が立つ陣跡で聖火を掲げた。 笹尾山の中継地点では入場制限がしかれたため、会場に入れない見物客もいた。遠くから聖火リレーを見守っていた大垣市の20代女性は「山本耕史さんが走っているのを見たくて来た」と話したが「近くで見られなくて残念」。 隣の垂井町から来た会社経営の50代男性は「雨でベッタベタ」と笑いながら、五輪は開催するべきだと語った。「感染レベルは他の国と比べても低い。感染対策をしっかりして成功することを考えたほうがいい」。そして政府にも「第4波も第5波もきっと来る。都合の悪いことも隠さず国民に伝えて『こういうふうにやる』と言うしかない」と注文をつけた。
●信長、道三ゆかりの地「岐阜」
聖火は関ケ原町から大垣市、羽島市と渡り、県内最終区間である岐阜市に到着した。 岐阜県といえば、昨年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」で主人公の明智光秀や光秀が仕えた戦国武将の斎藤道三、織田信長のゆかりの地として沸いた。
岐阜市では2つのコースが設けられた。岐阜市歴史博物館前から信長の居城だった金華山山頂の岐阜城までのルートと、JR岐阜駅前に立つ金色の織田信長像前の広場から、聖火リレーの県内ゴールとなる岐阜メモリアルセンターまでのルートを、それぞれ5人と26人のランナーがつないだ。 岐阜市出身で、シドニー五輪の女子マラソンで金メダルを獲得した高橋尚子さん(48)は、岐阜市の中心を流れる長良川にかかる金華橋上の区間を担った。 昼過ぎから激しく降り始めた雨も夕方には弱まり、午後7時過ぎには靄(もや)に隠れていた金華山頂の岐阜城も姿を現した。しかし雨は30分後に再び激しくなった。