海外メディアも池江璃花子の奇跡の東京五輪出場権獲得を称賛「不屈の努力と意志の強さが新しいプランの舵を」
白血病を克服した池江璃花子(20、ルネサンス)が4日、東京アクアティクスセンターで行われた東京五輪代表選考会を兼ねた競泳の日本選手権の女子100mバタフライで57秒77で優勝。100mバタフライの五輪派遣標準記録57秒10には届かなかったが、400mメドレーリレーの派遣標準記録の57秒92を突破しリレーメンバーとしての東京五輪代表入りを内定させた。選考委員会を経て正式決定となる。 池江は課題としていたスタートで好位置につけ、50メートルを2位でターンすると残り25m付近でトップに立ち一気に加速。そのまま1位でゴールした。電光掲示板を確認したとたんに涙があふれて止まらなかった。 「『ただいま』という気持ちでこのレースに入場してきました。自分がすごくつらくてしんどくても努力は必ず報われると思いました」 無観客の場内で行われたインタビューで泣きながら言葉を紡いだ。 「今すごく幸せです…本当に言葉にできません」 東京五輪の星と期待されていた池江が白血病を公表したのが2019年2月。競技生活の継続どころか、生命さえ危ぶまれたが、「この世でこんなに苦しいことがあるのか」というほどの抗がん剤治療などの闘病生活を経て、奇跡の回復を果たして、昨年3月にはプールにも戻った。だが、世界と戦っていたころの筋肉は削げ落ち、体重は15キロ減。「パリ五輪を目指す」と、2024年の五輪出場を目標に掲げた。新型コロナの影響で1年五輪が延期されたことは、彼女にとっては幸いし、懸命な努力を続けた結果、みるみる体力も回復して、昨年8月には東京都特別大会の50m自由形でレース復帰。徐々に本来持っている天才的水泳センスを取り戻し、10月には日本学生選手権に初出場して50m自由形で4位、今年2月のジャパン・オープンでは50m自由形で2位に入り復帰後初の表彰台に立った。同月の東京都オープンでは、復帰後初のバタフライのレースとなった50mバタフライで優勝していた。 海外メディアも、池江の奇跡の復活ストーリーを次々に報じた。 五輪放映権を持つ米のNBCスポーツは「池江が白血病を乗り越えて東京五輪競泳の出場資格を得る」との見出しを取り、「2019年に白血病で10カ月入院した日本の水泳スターの池江が、“生きていることが奇跡だった“と語った14カ月後の日曜日に東京五輪代表に選ばれた。池江は、日本の五輪選考会の100mバタフライを57秒77で勝ち、少なくとも代表リレーチームの座を獲得した」と伝えた。