「腐らずあきめず」西武の投手コーチ兼任の40歳サウスポー内海哲也が達成した通算2000イニングの価値
今シーズンから投手コーチを兼任している西武のベテラン左腕、40歳の内海哲也がプロ野球史上で92人目となる通算2000投球イニングを達成した。 本拠地ベルーナドームで7日に行われた日本ハムとの7回戦で先発。今シーズン初登板を果たした内海は5回を投げ終えた時点で、現役では岸孝之、涌井秀章(ともに楽天)、石川雅規(ヤクルト)、金子千尋(日本ハム)に次いで大台に到達した。 内海は5回を3安打1失点に抑える好投を見せ、勝利権利を得て交代したが、直後の6回に、守備の乱れなどもあり2番手の平井克典が踏ん張れずに逆転を許し、昨年6月9日の横浜DeNA戦以来となる通算136勝目は幻と消えた。なお試合は3-2で日本ハムが勝ち連敗を4で止めた。
5回1失点の好投も勝利逃す
万雷の拍手が降り注ぐベルーナドームの三塁側ベンチ前で、内海は深々と一礼した。手渡された記念のボードには、大きく「2000」と記されていた。 敦賀気比高から東京ガスをへて入団した巨人でのルーキーイヤー、2004年5月25日の広島戦で一軍初登板を果たしてから19シーズン目。通算331登板で到達した2000投球イニングを、4月29日に40歳になったばかりのベテラン左腕は「この記録は、何がなんでも達成したいという気持ちがあった」と感慨深げに受け止めた。 「何年も前からずっと言われていたけど、なかなか達成できなかった。このまま終わっちゃうんじゃないか、という時期もありましたけど、それでも腐らずに、あきらめずに頑張ってきた。シーズンの初登板で達成できて、本当によかったと思っています」 FA宣言で巨人入りした炭谷銀仁朗(現楽天)の人的補償として、西武へ移籍したのが2018年12月。しかし、新天地での1年目は左前腕部の故障で一軍登板なしに終わり、2020年と21年も登板6試合、合計投球回数も「26」にとどまった。 その間、年齢が大きく離れた若手選手にまじって、ファームで練習に打ち込んだ。内海をして「僕なんかがいるとあまりよくないのかな、という気持ちもあった」と苦笑させた日々が、このまま終わっちゃうんじゃないか、と思った時期でもあるのだろう。 それでも体を突き動かした原動力を、内海は照れくさそうに明かした。 「野球が好きだということと、(登板前は)本当に緊張するんですけど、それでもこの舞台を経験すると病みつきになるというか、また帰ってきたい気持ちになるんです」 西武での4年目も開幕一軍を逃した。それでもファームで3試合、計18イニングで防御率0.00の数字を残し、自らの力で一軍初登板を手繰り寄せた。あらためて「最高だ」と感じた先発で5イニングを投げ終えた時点で、念願の「2000」に達した。