実は「採点ペン」という商品名ではないけれど…子どもも大人も憧れる「先生のペン」として愛されるワケ
◆今でも手書きが求められる採点現場のための「プロの道具」
「学校だけでなく、塾や通信講座など、手書きによる採点が必要な現場というのは案外多岐にわたっているんです。やはり、採点される側にしてみると、ボールペンで書いた細い丸より、太い丸と“100点”とか書かれた数字のインパクトに、大きな喜びがあると思うんですよ。 採点する側も、筆圧にあまり関係なく太い線が書けるから、疲れてきても弱い線にならないということもありそうです。あと、ボールペンだと、下の紙に跡が付いてしまいますが、これだと付かないんですよね」(氣田さん) 今でも手書きが必要な現場の専用ペンを、手書きの魅力を伝える万年筆メーカーが作っていて、それがロングセラーになっているというのは、時代の必然のような気もします。 「でも、このペンは皆さんご存じですが、これがプラチナ万年筆の製品だということは、あまり知られていないかもしれません」と氣田さんは笑います。ただ、生活や仕事に密着して使われているロングセラーの文房具というのは、そういうもののような気がします。 「パッケージデザインなども変えてしまうと“探しにくくて困る”というお声を頂くこともあります。ここまで長く愛されていると、デザインも大きくは変えられませんし、よかれと思って変えたことが逆効果ということもありますから難しいです。 ただ私たちも、これは作り続けなければならないという使命感があります」と氣田さんは言います。 そういう製品だからこそ、プロの現場で安心して使えるし、そんなふうにしてプロの道具は生まれるのでしょう。
▼納富 廉邦プロフィール
文房具やガジェット、革小物など小物系を中心に、さまざまな取材・執筆をこなす。『日経トレンディ』『夕刊フジ』『ITmedia NEWS』などで連載中。グッズの使いこなしや新しい視点でのモノの遊び方、選び方を伝える。All About 男のこだわりグッズガイド。
納富 廉邦(ライター)