実は「採点ペン」という商品名ではないけれど…子どもも大人も憧れる「先生のペン」として愛されるワケ
◆スイスイと太い線が書けてインク交換も簡単という性能が採点の現場にハマった
「ボールペンだと、どんどん丸をつける作業などではインクが付いていかないというのと、線が細いというのはあったのだと思います。やはりマーカーペンのほうが線が太いし、インクの出がよかった。それに、カートリッジ式で簡単にインクが交換できるというのは、確かに採点向きですね」(氣田さん) プラチナ万年筆といえば、カートリッジ式インクを開発したメーカーですから、そのあたりのノウハウも他社に先行していたということもあったのでしょう。 しかもうれしいのは、そのカートリッジの規格自体は現在も変わらず、万年筆用も採点ペン用も、プレピー用も同じものが使えるということ。もちろん、それぞれのペン先に合わせて、トラブルが起きにくいように作られているので、それぞれの専用インクを使うことが推奨されています。 ただ、ユーザーの間では、筆者を含め、お気に入りの万年筆用カートリッジを「採点ペン」や「プレピー マーキングペン」などに入れて使うことも多いようです。インク詰まりを起こしても、ペン先が替えられるのが魅力。もちろん、メーカー保証外ですから、自己責任です。 実は、プラチナ万年筆側も、採点ペンとしての使われ方がどの時点で、なぜブレークしたのかは把握できていないのだといいます。 「いまだに、“採点ペン”として愛されている理由というのは、本当のところは分からないのですが、かなり発売当初から採点の現場で使われていたようですし、今思うと、先生方が要望する機能と価格から、当時はこれ一択みたいな状況だったのかもしれません。 おそらく最初に誰かが学校で使っていて、それを見た人がよさそうだと使い始めて……など、そのようなことが全国の学校であったのでしょうね」(氣田さん) しかし、70年代後半には、筆記具は一気に多様化しています。その中で、今も人気を保っている秘密は何なのでしょう。 「いろいろな筆記具が出てくる前に、定着してしまったということもあるとは思います。 今でも使われているユーザーの方から手紙などを頂くことがあるのですが、そこでは、『先生が使っていた憧れのペン』とか、『自分が生徒だったときに先生が使っていたのを見て憧れて、自分が先生になったときに使って感動した』といったことがよく書かれています。 それには、ペンのデザインが特徴的だったということも大きいと思っています」(氣田さん)