実は「採点ペン」という商品名ではないけれど…子どもも大人も憧れる「先生のペン」として愛されるワケ
プラチナ万年筆の「採点ペン」は、学校の先生が使っていたペンとして多くの人に知られ、また愛用されている筆記具の大ベストセラーです。その発売は1964年、なんと今年で60周年になります。 【画像】一目で「採点ペン」だと分かる印象的なパッケージ
◆「採点ペン」は1964年生まれ、本名は「カートリッジ式ソフトペン」でした
「最初は“採点ペン”というつもりで作ったわけではありませんでした。今も商品名は『カートリッジ式ソフトペン』なんです。とはいえ今は、パッケージにも『採点ペン』と印刷してありますが」と、プラチナ万年筆株式会社開発本部の氣田忠史さん。 開発当時は、マーカーペン、サインペンが普及し始めた時代で、この「ソフトペン」も元々は、万年筆メーカーの考え方でマーカーペンを作ってみようという企画だったそうです。 「万年筆と同じ水性染料インクのカートリッジ式で、インク浸透式の樹脂ペン先のペンを作ったら、マーカーのような使い方をしてもらえるのではないかという発想です。 発売当初の宣材には『事務に、手紙に、スケッチ、答案の採点にアイディア次第で広く使える』と書かれています。中綿式のマーカーペンがすでに日本で発売されていましたから、そういう使い方をされるだろうということでこのように書いたのだと思いますが、最初から“採点用にも”と書いてあったのは面白いですね」と氣田さん。 万年筆メーカーが作るマーカーペンという発想は、例えば、インクがカートリッジ式であるとか、インクをペン先に効率よく送るためのペン芯のような働きをする蛇腹状のパーツが内蔵されているとか、ペン先も交換できるといった部分に表れています。 この機能が、大量に丸をつけ添削する「答案の採点」という作業に、とてもマッチしたのでしょう。 何といっても、インクの補充が簡単で、ペン先が使えなくなっても交換パーツがあって、しかも、樹脂の柔らかいペン先ながら、筆圧であまり描線の太さが変わらないので疲れにくいわけです。これは、採点のために作られたようなものだと、多くの人に受け入れられたのでしょう。