実は「採点ペン」という商品名ではないけれど…子どもも大人も憧れる「先生のペン」として愛されるワケ
◆「採点ペン」の歴史を振り返る
確かに、「採点ペン、知っている?」と聞くと、多くの人が「あの先が黒くて軸が赤い、先生が使っていたペンね」と答えてくれます。 製品としては、赤軸と黒軸の2種類が長く販売されていましたが、売れ行きは赤軸が圧倒的だったそうです(現在は、赤軸と透明軸の2種類が販売されています)。そのくらい、あのデザインも込みで、多くの人の記憶に残っているのでしょう。 基本的な構造や機能は、発売後60年間ほぼ変わっていないのですが、デザインはその間にさまざまなものが登場しています。何より、最初の製品は金属軸で万年筆らしいスタイルでした。 それで、当時の価格で300円。そこから14年後の78年に出た普及タイプが600円なのですが、現在のモデルは880円(税込)ですから、そのコストパフォーマンスの高さも人気の秘密なのかもしれません。 一度ペンを買ってしまえば、消耗するペン先は「専用替えチップ」110円(税込)を、またインク220円(税込)を交換することで使い続けることができるわけです。まさに“プロの道具”といった趣ですね。 現行製品である「SN-800C」は、2011年4月の発売。このとき、キャップをしていれば1年間放置してもペン先が乾かず、すぐに筆記できる機構を搭載しています。万年筆では「スリップシール機構」と呼ばれている、プラチナ万年筆ならではの機構ですね。 他にも、クリップの強度の改善、インク漏れ防止機構の搭載、軸の形状を見直して筆記時の疲労度を軽減するといったリニューアルが行われているのが現行商品です。 個人的には、その前の「SN-800」という1988年に発売されたモデルを、校正用に使っていた時期が長く思い出深いのですが、あれがもう30年以上前になるわけです。しかも、基本的な配色などは現行製品と同じです。 赤い軸の製品は1972年にはすでに発売されていますから、イメージとしては50年くらい変わらず、「採点のための道具」として、多くの人に愛されているということでしょう。