心が折れすぎてしまう人たち レジリエンスを高める方法は?
多様性の時代といわれて久しいが、期待されて職場に入ったのに、いまひとつ評価が上がらない人がいる。理屈ではなかなか理解ができない人たちの深層心理を分析し、その思考法を受け入れるヒントを提供する。今回は心が折れすぎる人に対して、どのように対応すればよいかを解説する。日経プレミアシリーズ『「指示通り」ができない人たち』(榎本博明著)より抜粋。 ●落ち込み方が激しくなかなか回復しない いつの頃からか「心が折れる」という言葉を耳にするようになった。かつてはそのような言い回しはなかったと思うが、それだけ落ち込みやすい人が増えているということなのだろう。 頑張ったのに思うような成果が出ない場合、だれだって気分は落ち込むはずだ。それは、何も仕事に限らず、学校時代の勉強や部活でも、だれもが経験したことがあるのではないだろうか。だが、その落ち込みが極端な人がいる。 そうした落ち込みやすい従業員の処遇に困っている管理職や経営者も少なくないようだ。そのような極端に落ち込む部下がいるという管理職は、その人物に対する思いを次のように語る。 「極端に落ち込む人の話を聞いて、まさに私の部下のことじゃないかって思いました。彼女は、とてもまじめで、やる気もあって、その仕事ぶりを期待を込めて見ているんですけど、うまくいかなかったときの落ち込みがひどくて、困ってしまうんです」 何かうまくいかないことがあると、ひどく落ち込む、ということですね。 「はい。ふだんは明るく元気なんですよ。何をするにもすごく前向きで、やる気満々っていう感じで取り組んでくれるから、日常業務をするにはとても良い働き手なんです。でも、たまに目標が問われるような仕事に携わらないといけないことがあって、それがうまくいってるときはいいんですけど、うまくいかないとものすごく落ち込むんです」 そうですか。まあ、うまくいかないときはだれでも多少は落ち込むものですけど、その落ち込みっていうのは、仕事に支障が出るくらいなんですか? 「そうですね、支障が出ますね。っていうか、ひどいときはぼうぜんとして、心ここにあらずっていうような感じになって、声をかけても上の空みたいな反応で、困ってしまいます」 うまくいかなかったことのショックでそうなっている、ということですね? 「状況的に見て、そうとしか思えません。普段はやる気がみなぎっているタイプなのに、何かがうまくいかなかったときにそんなふうになってしまうので」