心が折れすぎてしまう人たち レジリエンスを高める方法は?
レジリエンスが高い人の特徴
もともとレジリエンスの研究は、逆境に強い人と弱い人の違いはどこにあるのかという疑問に端を発している。これまでの諸研究をもとに、レジリエンスが高い人の特徴を次のように整理することができる。 (1)自分を信じて諦めない (2)辛い時期を乗り越えれば、必ず良い時期が来ると思うことができる (3)感情におぼれず、自分の置かれた状況を冷静に眺められる (4)困難に立ち向かう意欲がある (5)失敗して落ち込むよりも、失敗を今後に生かそうと考える (6)日々の生活に意味を感じることができる (7)未熟ながらも頑張っている自分を受け入れている (8)他人を信じ、信頼関係を築ける ●ポジティブに受け止めるクセをつける レジリエンスを高めるには、このような心理傾向を身につけるように導くことが大切となるが、そのような根本的な対処には時間がかかる。そこで、まずは手っ取り早い対症療法として、失敗の受け止め方を改善するという方法がある。 物事の受け止め方のことを心理学では認知的評価という。 例えば、仕事で目標を達成できなかったとき、「ダメだなあ、こんなんじゃ将来はないな」「きっとこの仕事は向いてないんだ」などと悲観的に受け止める人は、ネガティブな認知的評価がクセになっているのである。ポジティブな認知的評価の習慣が身についている人なら、「もっと工夫して、次は目標を達成しないと」というように前向きに受け止めることができる。 上司から叱られて、「自分はなんてダメな人間なんだ」「こんな失敗をしてたら見捨てられちゃう」などと思ってひどく落ち込む人は、ネガティブな認知的評価のクセを持つ人である。ポジティブな認知的評価の習慣を身につけている人なら、「同じ失敗をしないように気をつけなくちゃ」「失敗は成功の母というじゃないか。これで次からはもっとうまくできそうだ」などと前向きに受け止めるため、モチベーションを維持することができる。 このように、思うような成果が出なかったり、ミスをしたりすると、ひどく落ち込み、やる気をなくすタイプの人物には、レジリエンスを高めるように働きかける必要があり、そのための第一歩としてネガティブな結果をポジティブに受け止める心の習慣を身につけるように導くことが必要と言える。