【天皇賞秋】田原成貴氏が騎手目線で振り返る ドウデュース=武豊のファンタスティック騎乗「どんな競馬でも一流だけど…」
競馬において根源的に大事なこと
レース後のインタビューでユタカ君は「今日は絶対結果を出さないといけないという強い気持ちで臨んだ」と言っていた。その気持ちがよく分かる。去年、レース直前でケガをして乗れなかった。あれは相当悔いが残ったと思う。ジョッキーというのは勝った時よりうまくいかなかった時のほうが記憶に残るものだ。夢に見るのも失敗したレースが多い。ユタカ君にとって騎乗すらできなかった昨年はまさに悪夢だったと思う。ドウデュースという馬はいい結果が出ないことで逆襲ポイントがたまるって、ユタカ君が言っていたみたいだけど、本人の逆襲ポイントもたまっていた。 3強のうち、敗れ去った2頭にも少し言及したい。リバティアイランド(13着)の川田君は完璧なエスコートをした。ペースが遅かったことを思えば理想的な位置取り。折り合いもついていた。あれで伸びないのではジョッキーはどうしようもない。休み明けの分が響いたとしてもちょっと負け過ぎた。 レーベンスティール(8着)のルメールさんはもう少し前で競馬したかったはずだが、ひっかかる怖れがあったからあの位置での追走になった。向正面でキングズパレスと接触したのも響いた。あとは、直線外からドウデュースにあれだけの脚で豪快に抜き去られて、ヘコたれてしまったかな。 今年いっぱいで現役を引退するドウデュース。次はジャパンカップということだけど、この馬に関してもう舞台がどうの、馬場がどうのを議論するのはやめよう。折り合えるかどうか、そこだけだ。地味だけど競馬において根源的に大事なこと。それをこの人馬が教えてくれている。
東スポ競馬編集部