全員陰性も濃厚接触者21人の南アとU-24日本代表の2日後に迫ったグループリーグ初戦は行われるのか…公平性を欠く問題点
東京五輪・パラリンピック組織委員会は19日、選手およびスタッフから合計3人の新型コロナウイルス感染者が出た男子サッカーのU-24南アフリカ代表チーム内で、21人にのぼる濃厚接触者が認定されたと発表した。 選手およびスタッフの内訳は明らかにされていないが、21人のほとんどが選手とされており、開会式前日の22日夜に東京スタジアムで行われる、U-24日本代表とのグループリーグ初戦が実施されるかどうかは、現在、協議中だ。21人の濃厚接触者のPCR検査の結果は全員陰性だったが、最悪の場合、2日後に迫ったU-24日本代表との試合が中止(日本の不戦勝)となる可能性も出てきたのである。 新型コロナウイルスの感染防止対策などがまとめられた「プレイブック(規則集)」内には明記されていないが、濃厚接触者と認定された場合でも、競技開始の6時間前に受けるPCR検査で陰性が証明されれば試合には出場できるとされている。 日本戦に関してはキックオフの6時間前、つまり22日午後2時に受けるPCR検査までに陰性が証明された選手数が、国際サッカー連盟(FIFA)が定める最少人数の13人をクリアし、キックオフの90分前までに登録すれば試合が成立する運びになる。裏を返せば、ここで陰性が証明された人数が13人に満たなければ試合は実施できない。 その前提となる「競技開始の6時間前――」は、日本政府と組織委員会が16日に唐突に発表したものであり、前述したように「プレイブック」内には記述が見当たらない。すべての選手へチャンスを公平に確保する、というプレーヤーズファーストの観点に立った特例にも映るが、直後から批判が集中する状況を招いている。 日本国内では濃厚接触者に認定された場合、14日間の隔離措置の対象となってきた。今シーズンの開幕直後のガンバ大阪に代表されるように、サッカー界もクラスターを起こせば例外なく活動停止を余儀なくされ、当然ながら公式戦の開催も延期されてきた。 同様の措置を東京五輪・パラリンピックに適用すれば、棄権せざるをえない選手やチームが後を絶たなくなると想定したのだろうか。新型コロナウイルスの感染拡大を防げないと見越した政府と組織委員会が、混乱なく大会を進めていくために、慌てて追加発表されたものだが、「安全・安心」からはかけ離れたルールだ。