全員陰性も濃厚接触者21人の南アとU-24日本代表の2日後に迫ったグループリーグ初戦は行われるのか…公平性を欠く問題点
さらに濃厚接触者の特例での競技出場に関しては、対戦相手やチームの承諾を得る、などといった文言が添えられている点も見過ごせない。 日本サッカー協会(JFA)が了承すれば、感染リスクが高まるなかで自国の選手たちをプレーさせるのかと批判されるだろう。対照的に拒否すれば、今度は「必死に準備した対戦相手へのリスペクトに欠ける」といった声が上がりかねない。どちらを選択しても、日本もピッチ外の騒動に巻き込まれる状況が生まれるのは避けられない。 本来ならば「プレイブック」にもない特例を唐突に設けた政府や組織委員会が、判断に対して最終的な責任を負わなければいけない。しかし、対戦相手やチームの承諾といった文言を加えた結果、責任の所在を曖昧にして、なおかつ巧妙に自分たちからそらせた感は否めない。 菅義偉首相や丸川珠代五輪担当相、組織委員会の橋本聖子会長だけでなく、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長までが、何度も「安心・安全な大会」を謳ってきた。しかし、東京五輪の中核を担い、外部との接触をいっさい遮断する「バブル」に包まれるはずの東京・中央区晴海の選手村内で感染が広がりつつある。 それでも19日にはIOCが記者会見を行い、報道によれば、登壇した独立専門家パネルの一員で、2012年ロンドン五輪では公衆衛生ディレクターを務めたブライアン・マクロスキー博士は、選手村の安全を問う質問に「イエス」と断言している。 「すべてが陰性になるとは想定していない。(現状は)想定内というか、想定よりも低いぐらいだ。選手村は隔離・分離されているので、日本国民に蔓延させることもない」 政府や組織委員会、IOCが安心・安全を訴えるほど、発した言葉が空虚に独り歩きしていく悪循環は、もはや止められない。開催国である日本の選手たちをも図らずも巻き込み、最も重視されるべき競技の公平性までもが失われつつある状況で、23日の開会式に先駆けて行われる、男女サッカーやソフトボールのスタートが刻一刻と迫りつつある。