選手村滞在の南ア・サッカー代表2人の新型コロナ感染が海外に波紋…「五輪期間中に蔓延の懸念」「多くの競技者が棄権に追い込まれる不安」
東京五輪に出場するため東京都中央区晴海の「選手村」に滞在していた南アフリカの男子サッカー代表の選手2人、スタッフ1人が、新型コロナウイルスの検査で陽性になったことが明らかになった。東京五輪・パラリンピック組織委員会は、国名、競技名を伏せたまま選手村の選手に新型コロナ感染者2人が出たことを発表していたが、南アフリカの五輪委員会が発表したことを受けて、これらの感染者が、日本が22日のグループリーグの初戦で対戦する南アフリカの選手であることを認めた。 外部と隔離する「バブル方式」で感染予防対策をしていたはずの選手村で、開幕前に早くも新型コロナの陽性反応者が出たニュースの波紋は、海外でも大きく広がった。 英ガーディアン紙の電子版は、南アフリカのサッカー選手が陽性反応を示したことで、感染拡大の不安と同時に試合に出場できない選手が出てくる可能性があることを指摘した。 「南アフリカのサッカー選手2人が五輪選手村で初めて陽性反応を示したことで、今大会での新型コロナウイルスの感染拡大への懸念が高まり、23日に始まる東京大会では多くの競技者がウイルスによって棄権に追い込まれるかもしれないという不安が高まっている」 同紙によると、陽性反応を示した2選手にはすでに新型コロナの症状が出ているという。南アフリカチームのマネジャーが「高熱があり、唾液検査で陽性反応が出たため、鼻腔内の検査を受けたところ、残念ながら陽性反応が出た」と話したとし、選手2人に加えてチームのビデオ分析担当者も陽性反応を示したことを明かした。南アフリカチームは隔離されており18日の夜に予定されていた最初の集中的なトレーニングを中止した。 組織委員会は新型コロナ陽性者の隔離期間中の競技参加は認めていない。現在、他選手の濃厚接触者を調査中だが、濃厚接触者に指定された場合でも競技開始の6時間前のPCR検査で陰性となった場合は出場可能というルールが定められている。だが一方で、国際サッカー連盟(FIFA)は試合成立のために最低13人の選手登録が必要と規定している。もし22人の登録選手の残り20人のうち、8人以上が濃厚接触者に指定され、試合当日(22日)のキックオフ6時間前のPCR検査で陰性反応を示さなかった場合は、試合は棄権。日本の不戦勝となる可能性さえ出てきた。 また同紙は、英国の選手たちが飛行機内で陽性者と接触した可能性があり、隔離されているニュースについても「英国代表団の6人の選手と2人のスタッフが、東京へ向かう飛行機の中で新型コロナを発症した一般市民と接触し、隔離を余儀なくされたため、五輪開催に向けた準備は混乱に陥った」と報じて、東京五輪が開幕前に混乱状態に陥っていることを示唆した。