「妻の死を無駄にしない」殺害現場のアパートを25年間借り続ける夫 新たな“DNA捜査” 期待もハードル 未解決の主婦殺害事件 名古屋
■捜査を飛躍的に進めるために…求める「DNA捜査の法制化」
事件の発生からちょうど25年の2024年11月13日、高羽さんは、名古屋市西区の商業施設で犯人の似顔絵入りのチラシを配り、情報提供を呼びかけた。
2024年10月には、捜査の進展を期待し、若手の捜査員に現場の自宅を案内した。犯人逮捕につながる手掛かりを求め、動き続けている。 高羽悟さん: 「これが犯人の血でしょうと判明して、当時の担当の刑事さんに聞いたらそのとおりだと」
そんな高羽さんが今、期待を寄せているのが「DNA」だ。 高羽さん: 「(DNAは)究極の個人情報ですから、扱いは慎重にしないといけないとは重々わかるんですけど。被害者としては、少しでも活用してもらって、1件でも2件でも犯人が捕まればいいなと思うんですけど、なかなか難しいですよね」 現在も、警察の捜査で「DNA型鑑定」が活用されている。身体的特徴や病気に関する情報を含まない部分のDNA型の特徴を分析し、個人を高い精度で“識別”する。
高羽さんら「宙の会」は、“識別”だけでなく、最新技術を活用して、DNAから『年齢幅』や『病歴』などを導き出し、捜査に活用できるような法整備を求めている。 しかし、遺伝情報は究極の個人情報のため、慎重な扱いが不可欠で、非常にハードルが高いと言える。
高羽悟さん: 「抑止力になると思うんですけどね。少しずつでも生きている間に目途がつけられるようにやっていきたい。そういう意味では、奈美子の供養になるというか、そういうことはパワーになるというか。なんとか死ぬまで、奈美子の死が無駄にならないようにやっていきたい」
■“被害者遺族だからこそやれること” 歩み続けた家族の25年
当時2歳で事件を目の当たりにした長男の航平さんは、24年11月に結婚した。相手の咲月(さつき)さんは、偶然にも、母・奈美子さんの親友の娘だった。
高羽悟さん: 「(事件から)24年も26年も自分の中では変わらなくて。2歳の子供を育てながらの25年ですから。奈美子とは血がつながっていなくて、本当の遺族は航平じゃないかと思った。航平から大人になったときに『お父さん、なんで一生懸命、犯人捜ししてくれなかったんだ』と言われたら、親として恥だと思って、そういうことがないようにやってきて。今回結婚で、やっと航平に対して責任がとれたのかなと」