「つらいかな」と思ったら、心のサイン。仕事、家事、育児、介護……心の専門家に聞く、バーンアウトを防ぐ方法
うんうん、そこまで追い込まれないと手放せないという先生の気持ちやこだわり、よく分かります。でも、その前に、なんとか手放す方法があれば。ましてや、渦中にいる人は自分が今バーンアウトしかけていることには気づかないわけだし……。 そう考えている私たちに、「限界値を知っておくと、バーンアウトを防ぐことができる」とTomy先生。 Tomy「仕事量でも時間でも、これ以上やるとダメ、というラインを自覚しておくと、そろそろバーンアウトしそうだと分かってきます。 睡眠時間でいえば、自分は何時間寝たら大丈夫、って大体みんな分かっていますよね。それと同じで、私はこの仕事量なら大丈夫、あるいはもうちょっとやれそう、という手前で止めておくといいと思います」 大野「『つらいかな』と思い始めたら、もうそれがサインなんです。『なんか苦しいな』と感じたり、少し前までは全然平気だったのに細かいことが気になりだしたら、今ちょっと余裕ないかなって思うサイン。 そこで切り替えたり、スケジュールを組み直したりするといいかなと、自戒も込めて思います。
そうは言っても、気持ちで区切れない人もいますよね。そんな人は、ツールに頼るのも手。 私もバロメーターが分からないタイプでしたが、Apple Watchをつけっぱなしで寝るようになったら、意外と全然眠れていないとか、眠れているとかが可視化されていた。 そうすると、眠れていないから今日はちょっと休もうかなという基準ができてくるんです」 Tomy「やり過ぎで困っている人には、『今やっていることの半分にしてください』って言います。悩んでいる時点で半分にしてもいいくらい。半分にすると、絶対に取捨選択しないといけない」 え? 今の仕事量を半分にする? そりゃ無理でしょ……。と言いたげな参加者たち。その反応を見て、「カット野菜だって半分にしてるんですよ」とTomy先生は笑います。 「野菜を選んで、洗って、切る作業を考えたら、カット野菜を買うこと自体、半分以下になってるんじゃないですか?」と。なるほど、確かに……。
そう考えると、家事は便利家電に任せる、あるいは今ある便利家電をバージョンアップして、より手抜きできる上位機種を買うのも手なのかもしれません。 仕事でいえば、“人”に任せられないなら、“AI”がある。単純作業は、多少のクオリティー低下には目をつぶり、どんどんAIに任せればいい。 バーンアウトするくらいなら、ゴーギャンまでいかなくとも、振り切ってしまおう。そう、ほのかに勇気づけられた私たちでした。 執筆:桜田容子 バナーイラスト:cosmaa / gettyimages デザイン:山口言悟(Gengo Design Studio) 編集:奈良岡崇子