「つらいかな」と思ったら、心のサイン。仕事、家事、育児、介護……心の専門家に聞く、バーンアウトを防ぐ方法
実際、産業カウンセラーとして関わってきた方々を見ていると、40歳前後は転職する人も多いし、家族構成にも変化が表れやすい。私自身、40歳で夫と別居して、その後離婚をしました。まさに転換期でしたね。 一方で、転職や自己実現を前に、体力的な不安を持つようになり、『できると思っていたのに、この体調、体力だと難しいのでは』と戸惑う人も多いです」 「今のままじゃダメだ」と方向転換する人もいれば、振り切りたくても、「体力的に無理かも……」と揺れる人もいる。また、体調不安や、さまざまな出来事を機に思考がネガティブになり、自分を追い詰めてしまう人も。 “揺れ”や“振り切り”がいい方向に向けば問題ないけれど、ともすれば極端に悪い方向に行く可能性もある。だからこそ、“クライシス”なのです。
人生のカウントダウンに気づき始める
一方、Tomy先生もご自身の経験を振り返り、こう話します。 Tomy「僕は今46歳ですが、30歳くらいまでは、『まだ残りの人生は50年あるし』と、若い気分のまま、この先もずーっと人生が続くような感覚を持っていました。でもあるとき、人生は観覧車のようなものだということに気づいたんです。
【Tomy(精神科医、著者)】 精神科医。 東海中学・東海高校を経て、名古屋大学医学部卒業。医師免許取得後、名古屋大学精神科医局入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医。 39万フォロワー突破のX(旧ツイッター)が人気で、テレビ・ラジオなどマスコミ出演多数。 著書『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』に始まる「1秒シリーズ」は、33万部突破のベストセラーとなり、『精神科医Tomyが教える 心の執着の手放し方』の小説シリーズも反響を呼ぶ。最新作は、『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』。
観覧車って、最初は上に上がって行きますよね。上り調子のときは『もっと高くなる』、つまり、『今日より明日のほうが成長しているだろう』と思っている。だけど、ミドルエイジになると、もう頂点に来ちゃってるわけです。 その後は下っていく一方。高さだけでいうと、明日の景色は今日より悪くなる。つまり、これからは老いていくばかりで、今日が一番若い」 Tomy先生がこの“観覧車理論”に気づいたのは、35歳の頃。 Tomy「僕は35歳ぐらいでパートナーを亡くしました。その3年前には父親も他界しています。 喪失感を重ねながら、人ってあっという間に亡くなるんだな、そして自分も死ぬのはそう先のことではないと思うように。やがて、このままでいいのかなと考えるようになりました」