リバプール、遠藤航に迫る決断のとき。移籍か残留か…。はたまた第3の選択肢も!? 「試す価値は十分にある」【コラム】
アルネ・スロット体制1年目にして好調な滑り出しを見せているリバプールは、現在プレミアリーグで首位を快走している。そんな勢いのあるマージーサイドのクラブにおいて、一人の日本人選手が苦境に立たされている。遠藤航はなぜ序列が低下したのか。そして、まもなく訪れる冬の移籍市場で彼はどのような選択を取るのか。(文:内藤秀明) 【写真】リバプール、最新年俸ランキング
●絶好調のリバプールが早くも独走状態!?
ライバルクラブの不調とは対照的にリバプールは絶好調だ。近隣のマンチェスター勢は混乱の最中におり、ロンドン勢も優勝争いに生き残っているのは、アーセナルとチェルシーのみ。現時点ではリバプールと2位のチェルシーでは勝ち点差が4に開いており、リバプールが1試合消化が少ないことを考えると(第15節のエヴァートン戦が悪天候で中止)勝ち点差が7になる可能性もある。この状況はマージーサイドの強豪クラブの独走状態と言ってもいいだろう。 ユルゲン・クロップ退任後1年目から絶好調だなんて、マンチェスター・ユナイテッドファンの筆者としては、羨ましい気持ちで一杯である。しかも今シーズンに優勝すれば、リーグ優勝20回目で、ユナイテッドの優勝回数に並ぶ。この数字はユナイテッドファンである筆者にとっての、感情面での最後の砦なのだ。崩される恐怖心は…。一言では説明できない。 色々語りたいこともあるが、長くなりそうなので、筆者の感情の話は脇に置いておこう。 そんな首位クラブだが、問題が全くないわけではない。例えば、昨季まで主力だった日本代表MF遠藤航は未だにチーム戦術にフィットできていない。
●ファン・ダイクも「何故?」遠藤航の序列低下の原因
昨季までの遠藤は、ファビーニョやジョーダン・ヘンダーソンなど、主力が一気に退団したクロップ・リバプールのラストイヤーを支えていた。今年3月に行われたホームでのマンチェスター・シティ戦では、中盤のフィルター役として活躍して、マン・オブ・ザ・マッチに輝いたこともあった。 しかし、ポゼッション志向のオランダ人監督アルネ・スロットが新任すると、序列が急低下。スタッツサイト『トランスファーマルクト』によると、昨季の遠藤はリーグ戦で29試合1720分出場していたが、今季はわずか6試合20分しかプレーしていない。 遠藤の序列低下の原因は明らかだ。中盤の選手としての配給力不足である。そして、その原因は密集で前を向くプレーが出来ないからだ。特にセンターバック(CB)からボールを引き取った後にターンを出来ない場面が目立つ。 例えば、第11節のアストン・ヴィラ戦、89分24秒のシーンだ。2トップと中盤のライン間で、フィルジル・ファン・ダイクからフリーでボールを引き取った日本代表MFだが、ターンをせずボールを数回タッチして、結局相手2トップよりも後方でキープしてしまった。ワンタッチで前を向けば難なく、相手の2トップより前方にボールを運べたが、結果的にオランダ代表DFの配給を無駄にしてしまった。これにはファン・ダイクも「何故?」と言わんばかりに両手を広げるジェスチャーをしていた。 もちろん時間帯とリードしている試合展開を考慮すれば、無理してターンする必要はない。とはいえ、アピールしなくてはいけない現状や、完全にフリーでボールを受けていることを考えると、前を向くべき場面だった。