リバプール、遠藤航に迫る決断のとき。移籍か残留か…。はたまた第3の選択肢も!? 「試す価値は十分にある」【コラム】
●移籍ならクラブとの親和性が重要。筆者おすすめクラブのスタイルとは
イプスウィッチのキーラン・マッケナ監督はオーレ・グンナー・スールシャール政権のユナイテッドでアシスタントコーチを務めたことのある人物だ。この時期のユナイテッドを改めて振り返ると、柔軟な守備戦術で強豪相手にカウンターで勝つ試合が多く、これらは今思うとマッケナの影響だったのだろう。 現在38歳とまだまだ若いが、イプスウィッチを2年連続で昇格させて、3部から一気にプレミアリーグに導いた実績もある。攻撃面はともかく守備面では器用な遠藤とイプスウィッチのサッカーは相性はいいだろうし、日本代表MFとしても得るものがありそうだ。戦力的にも出場機会を得られる可能性が高い。 ただし、今シーズン降格する可能性があるため、完全移籍ではお勧めできない。一応、筆者は残留を予想しているが、リスクはリスクだ。ただ良いチームなので、ローンならアリな選択だろう。 一方のフラムはマルコ・シウバ監督の元、強度の高いサッカーで上位進出を狙っているクラブだ。しかも今夏には守備職人の大型MFジョアン・パリーニャがバイエルン・ミュンヘンに移籍した。代わりに195cmと同じく大型のノルウェー代表MFサンデル・ベルゲを獲得したが、彼は前任者ほど守備特化型のタイプではない。そういう意味では体格こそ違うものの、パリーニャと同じ役割を任せることが出来る遠藤の居場所はあるはずだ。 戦術的にもロングボールを多用する上に、中央でのインターセプトを戦術の要としているクラブなので、親和性も間違いない。イプスウィッチよりはスタメン争いは熾烈だが、スタメンになれるチャンスは十分ある。
●残留なら新境地開拓もあり得る!?
一方で、正解の選択肢ではなく、一人のサッカーファンとしての好みの決断を語るのであれば、筆者は遠藤に今年は残留をしてほしい気持ちもある。なぜなら、今シーズンの遠藤は終盤戦にCBとして新境地を開く可能性があるのではないかと予想しているからだ。 というのも現在のリバプールは、CBの選手層がやや薄い。ファン・ダイクとイブラヒマ・コナテのコンビは世界でも屈指のクオリティだが、控えメンバーがやや心許ない。これまではジョー・ゴメスと、ジャレル・クアンサーがCBの代役を務めているが、二人ともに十分なパフォーマンスを披露出来ているわけではない。 三番手のゴメスは足元の技術が高く、スピードも上背もある選手だが、27歳になっても集中力の持続と状況判断に課題を残していることもあり、今季の序盤戦はサイドバック(SB)で起用されることの方が多かった。しかし、主力のコナテが負傷離脱したことで、直近リーグ戦ではCBとしてスタメン出場する機会が増えている。 すると、第13節のマンチェスター・シティ戦では悪目立ちせず良いプレーを見せてファンを喜ばせたが、第14節のニューカッスル・ユナイテッド戦では不安定なパフォーマンスを披露してしまった。どんな試合でも安定してプレーするのは難しいようだ。 クアンサーはそのゴメスよりも序列は下で、開幕戦こそCBでスタメンだったが、以降は序列を落として、直近はSBでプレーすることも増えている。結局のところスロットのお眼鏡に叶うCBは現状いないのだ。