リバプール、遠藤航に迫る決断のとき。移籍か残留か…。はたまた第3の選択肢も!? 「試す価値は十分にある」【コラム】
●まるでイニエスタのよう。スロットの元で開花した若手
このように前線と中盤のライン間でボールを受けた後にターンをして、ワイドに展開するプレーや、ドリブルで前方に運ぶプレーが出来ないことが、遠藤の序列低下を招いている。 その点、現在スタメンで出場しているライアン・フラーフェンベルフは、仮にマークがついていても、ターンで逆をとって前を向くことが出来る。激しく寄せられても、高い技術とリーチの長さを生かしてボールを失わない。 また、イングランド代表MFカーティス・ジョーンズも、同様のプレーが上達している。今やアンドレス・イニエスタのように優雅なボールタッチで、密集を潜り抜けていくほどだ。彼らはやや伸び悩み気味の若手だったが、スロットの元でその才能がとうとう花開いた。 もう一人の3列目の主力メンバーであるアレクシス・マック・アリスターは、彼らほどドリブラー気質ではないものの、変わりにCBからの縦パスをダイレクトでサイドチェンジしたり、ワンタッチでフリックして動き直し、前を向いた状態でボールを受け直すなどのパスワークのアイディアがある。 とはいえこれはこれで、トップレベルの視野や足元の技術が要求されるプレーである。彼は前所属クラブのブライトンで、ロベルト・デ・ゼルビの元で徹底的に鍛えられたからこそ出来るのだ。遠藤に対して「1~2ヶ月でいきなりものにしろ」というのは無理な話だ。 いずれにしても、安定して前を向けないことが遠藤の大きな課題になっている。それでもわずかな時間とはいえ、起用されているということは、スロットなりの信頼の証なのだろう。あるいは遠藤が腐らず、真面目に練習をこなしている証でもある。
●退団か残留か…。どちらにしてもメリット・デメリットがある
このような現状に対して、筆者としては正直、「退団するべきか否か」の正解は持ち合わせていない。 残留すればプレミアリーグやUEFAチャンピオンズリーグ(CL)優勝への挑戦というかけがえのない時間を経験することが出来るだろう。また、スロットという名将と過ごす時間は、彼の引退後のキャリアへの好影響もあるだろう。 一方で、彼が選手としてプレータイムを望む、あるいは、日本代表のキャプテンとして2026年のFIFAワールドカップ(W杯)を見据えて万全の状態で臨みたい場合、冬のうちに移籍して、2025/26シーズンの基盤を模索する選択肢もあるはずだ。どちらもメリットとデメリットがある選択だ。 仮に退団する場合、英メディア『CaughtOffside』によると、ACミラン、フラム、ウルヴァーハンプトン、イプスウィッチ・タウンなどのクラブが手を挙げているという。リスクの少ない国内移籍をするのであれば、半年ローンならイプスウィッチ、完全移籍ならフラムをおすすめする。