楽天はなぜ功労者の「田中将大」に“花道”を用意できなかったのか
“ドラフトの目玉”宗山を獲得「スター候補が欲しかった」
あまりにも対照的な“入れ替え”劇だ。東北楽天ゴールデンイーグルスでは11月に球団史上きっての功労者である田中将大投手が、減額制限(年俸1億円超えは40%)を超える大幅な減俸を提示され、自ら自由契約での退団を表明。一方で12月7日には、ドラフト会議で5球団競合の末に獲得した大物ルーキー、明大・宗山塁内野手が新入団選手発表に臨み、真新しい背番号「1」のユニホーム姿を披露した。 【写真】マー君が楽天退団についても相談したという年上妻(40)。アイドル時代と変わらぬ溌溂とした笑顔をのぞかせる
田中の退団は球界に衝撃を与えたが、宗山の指名も当初、球団内で物議を醸していた。宗山は確かに“20年に1人の逸材”といわれる好守の遊撃手だが、楽天には今季135試合でスタメン遊撃を務めてレギュラーの座を固め、11月の国際大会「WBSCプレミア12」で日本代表「侍ジャパン」の一員としてプレーした村林一輝内野手がいるからだ。 「現場首脳陣から、『プロ9年目でようやく規定打席をクリアして一人前になり、まだ27歳と若い村林を大事にしたい。ドラフトは投手を獲ってほしい』という声も挙がりました。最終的に宗山を指名したのは、スター候補が欲しかったからです。あれだけ守れるアマチュア選手はなかなかいませんし、おまけにイケメン。チームの顔になれる要素を持った選手ですから」(楽天スカウト) 新人ゆえに大枚をはたくことなく、球場にファンを呼べる選手を獲得できるチャンスを、逃す手はなかったわけだ。一方、田中が2021年に、8年ぶりに楽天復帰を果たした際には、三木谷浩史オーナーの決裁で、2年契約で日本人史上最高年俸の9億円が支払われた。 「もともと楽天はお金に“渋い”球団として知られていました。2015年に“デーブ”(大久保博元氏)が監督に就任した時、当時巨人の監督だった原(辰徳)さんに年俸の額を明かして相談したら、『そんな安い値段で受けたら、プロ野球の監督の格が落ちる。断れ』と言われたそうです。結局、監督になれるチャンスはそうそうありませんから、受諾しましたが……。そういう経緯があったので、田中の復帰には三木谷オーナーの並々ならぬ思い入れを感じたものです」(巨人球団関係者)